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「お風呂は日々の生活の中に当たり前にあるもの」 スポーツクライマー野口啓代が語る日々の生活とお風呂の関係

スポーツクライマーの野口啓代さんがお風呂へのこだわりを語ってくれます。東京オリンピック・パラリンピックでの活躍と、爽やかな完全燃焼からの現役引退。胸が熱くなったのを覚えています。世界中を飛び回り、限界まで挑戦するアスリートの日常にそっと寄り添うお風呂。野口さんが語るお風呂ストーリーには僕たちの毎日の気づきが満載です。そしてそこにはなんとBAINCOUTUREのお風呂が存在したのです!

亀田誠治

野口啓代

1989年生まれ。小学5年生の時にフリークライミングに出会う。 クライミングを初めてわずか1年で全日本ユースを制覇、その後数々の国内外の大会で輝かしい成績を残し、ワールドカップ優勝は通算21勝を数える。 2018年にはコンバインドジャパンカップ、アジア競技大会で金メダル。2019年世界選手権で2位。自身の集大成、そして競技人生の最後の舞台となった東京2020大会では銅メダルを獲得。今後は自身の経験をもとにクライミングの普及に尽力していく。

お風呂は日々の生活の中に当たり前にあるもの

お風呂を切り口にしたインタビューって、初めてですか?

そうですね。コンディショニングやリラックスなどのテーマでインタビューをしていただいた時に、その一部としてお風呂の話をしたことはありますけど。お風呂がメインでお話をするのははじめてです。

アスリートの方々のコンディション調整って、我々には想像もつかないほど日々気にされていることも多いかと思います。その中でも、お風呂は体の疲れを癒すという意味で非常に重要な時間なのではと想像できるのですが、野口さんにとってお風呂はどういう存在なのでしょうか?

一日の生活の中に当たり前にあるものですね。子どもの頃から、毎日湯船に浸かるというのが当たり前の習慣でした。お風呂に入ることが日々のルーティーンの中に自然に組み込まれていて、なくてはならない存在なんですが。海外に遠征に行った時には、シャワーだけのホテルがたくさんあって、困っちゃうということの方が多いです。

海外遠征のお話し、ぜひ後ほどたくさん聞かせてください!まずは、野口さんのお風呂時間について伺っていきますね。お風呂の中では、どんなふうに過ごしていますか?

お風呂にいる時間はリラックスしながら、「今日はこんなことがあったな」と一日を振り返ったりしています。家にいる時は毎日、旦那と2人で入るんですけど、お風呂の中で「今日はどうだった?」「トレーニングの調子はどうなの?」といった話をしています。一日の疲れを流すのと同時に、その日のことを振り返って、明日に向けてリセットするような時間を過ごしています。

ご夫婦のコミュニケーションの時間にもなっているんですね。入浴に対するこだわりはありますか?

私の場合は、30分から1時間くらいお風呂に入るのですけど、毎回、入浴剤やお風呂の色や香りを楽しんでます。疲れを落して、リラックスするためにお風呂に入っているんですけど、そのためには自分の落ち着く環境づくりがすごく重要だと思っています。

ぜひ、おすすめの入浴方法があれば教えてください!

私は炭酸の入浴剤を毎日使っています。トレーナーの先生から炭酸が疲労回復に良いということを教えていただいて。その先生は家にガスボンベを設置してお風呂やシャワーの水を炭酸泉にしているくらいお風呂に凝っている人なんです(笑)その先生の家に遊びにいって、炭酸のお風呂に入らせてもらった時に、全然違うなって。それから、毎日炭酸の入浴剤を使うようになりました。実は、BAINCOUTUREのお風呂を入れる時も「炭酸泉つけられませんか?」って相談をしたことがありました。さすがに難しくて、諦めたのですが。

炭酸泉って、そんなに違うんですね!たしかに、入浴剤であればすぐに試してみることができる気がします。

そうですね。入浴剤は毎日これを入れるって決めて生活の中に落とし込むことで、無理なく続けることができます。私は、心身のコンデションづくりって、特別なことをする日をつくるというよりは、毎日のちょっとした積み重ねの方が後々効いてくると思っています。特別なことってあんまり長くは続かないですが、日々の当たり前にしちゃえば、頑張ろうと思わなくても続けられます。入浴剤だったら、旅先のコンビニでも買えるので(笑)

海外遠征に行く時も、入浴剤を持っていきます。あとは、後輩が大会に出る時に「リラックスして楽しんでね」という思いを込めて入浴剤を渡すこともあります。私が現役の時はよく炭酸の入浴剤をもらっていました。

こだわりを持ってつくられたご自宅のお風呂

遠征先で経験した海外のお風呂エピソード

ここからは、先ほど少しお話しいただいた海外遠征をされていた際のお風呂事情について、色々教えてください。

はい。海外ではホテルの部屋にお風呂がなくてシャワーだけのことも多かったですね。私を含めて、日本代表のメンバーはお風呂好きの子が多くて、ホテルの大浴場に行ったり、休みの日に車で近くのスパに行ったりしていました。

海外遠征で特に思い出に残っている温泉のエピソードはありますか?

フランスとスペインの間にアンドラ公国というすごく小さな国があるのですが、そこのスパは最高でした。スペインの岩場を登りに行った時に、そこから車で1時間半くらいかけてわざわざそのスパに行ったのですが、内装が古代ローマの神殿みたいになっていて、あまりに気に入って、滞在中毎週末みんなで通ってました(笑)

海外だと入浴の習慣自体がない国もありますよね?海外と日本でお風呂に関する習慣の違いを感じることはありましたか?

海外のクライマーの友人たちと一緒に過ごしたことがあるのですが、一番生活リズムの違いを感じたのがお風呂だと思いました。食事だったら、だいたいみなさん、朝起きて朝食を食べて、お昼を食べて、夜になったら夕食べて、1日3食って共通しているじゃないですか。
お風呂については様々で、例えば、私は夜は絶対にお風呂に入ってから寝たいんですけど、海外の方の中には夜はそのまま寝て、朝起きてシャワーを浴びるという人がいたり、湯船につかるのは何日かに一回でいいという人がいたりして、生活の中のお風呂の位置づけの違いを感じました。

たしかに、海外の方がゆっくりお湯に浸かっているイメージってないかもしれません。仲良くなった海外の選手にお風呂の魅力を伝えたりしたことはないですか?

そうですね。お風呂や温泉で疲れを癒すというよりは、体の汚れを落としたり、朝に熱いシャワーを浴びて目を覚ますみたいな機能的な意味合いの方が強いのかなって思います。

海外の選手が日本に来た時に「温泉に行きたい」という話は結構でますね。ただ、海外の温泉は水着で入ることが多いですが、日本の温泉は水着を着ないじゃないですか。なので、みなさん最初はびっくりされたりしています。海外の選手にとっての温泉って、温かいプールのような感覚なのかもしれませんね。

2020東京オリンピック、現役引退、そしてこれからの挑戦

野口さんのアスリートとしてのお話しも聞かせてください。引退を決めて臨んだ2020東京オリンピックでは、人生の大勝負に向けてどのように準備をしていったのでしょうか。

私の場合は、オリンピックの出場が決まったのが2019年の夏。そこから延期もあって、丸2年の時間がありました。オリンピック以外にも大会はたくさんあるので、それまで通り、日々トレーニングをしたり、海外に遠征したり、国内の大会に出たりしながら、2021年を迎えました。オリンピックのスポーツクライミングでは、スピード、ボルダリング、リードという3つの種目があるので、自分の中の3種目のバランスを調整をしたり、本番は真夏の屋外で夕方から夜にかけて行われる予定だったので、本番前は生活のリズムをそこに合わせたりしていました。ただ、それ以外は、何か特別なことをやるというよりは、日々のトレーニングと食事やお風呂などの当たり前の生活を続けていたという感覚です。

大会だけでなく、様々な場所でクライミングをする野口さん

大会だけでなく、様々な場所でクライミングをする野口さん

大会だけでなく、様々な場所でクライミングをする野口さん

大会だけでなく、様々な場所でクライミングをする野口さん

大会だけでなく、様々な場所でクライミングをする野口さん

特別なことをやるのではなく、これまでやってきたことを着実にこなしていくということですね。

そうですね。小学5年生の頃からクライミングをはじめて、16歳から世界大会に出場するようになって、プロとしての長いキャリアの区切りとしてオリンピックで引退したい考えていたので、オリンピックのために頑張るというよりは、これまでやってきたことの集大成をしっかりだせるように準備をしていました。

ありがとうございます。それでは最後に聞かせてください。今後挑戦していきたいことはありますか?

現役時代からスポーツクライミングを普及していきたいという気持ちはすごく強くて、大会がない時期は出来るだけ積極的にメディアに出て、多くの人にクライミングを知ってもらえるように発信を続けてきました。引退後の現在は、普及活動として体験会などのイベントを多くやらせてもらっています。そんな中で、今新しく挑戦してみたいと考えているのが、スポーツクライミングの大会の主催です。現役時代に一緒に闘っていたプロの選手たちを集めた大会を一度やってみたいと思っていて、第一回目は私がずっとトレーニングをしていた実家の壁をつかって開催する予定です。今年の11月開催に向けて今動いているところで、これから準備が忙しくなりそうなんですけど、楽しみです。大会の当日の様子は後日YouTubeで配信することも考えているので、よかったら是非見てください。

ナビゲーターの声

百戦錬磨のオリンピアンは一体どうお風呂に向き合っているのだろうか?そこには何か秘伝のタレのようなものがあるかと思っていたら、全くもって僕らと同じ、日本人のお風呂マインドを大切にされていて少しホッとしました。僕もアスリートまではいかなくても、ライブツアーやハードな演奏が続くと筋肉疲労が溜まるので、炭酸の入浴剤には「なるほど!」と思いました。ぜひ挑戦してみたいな。野口さんがおっしゃる「多くの人にクライミングを知ってもらえるように発信を続ける」という考え方も、クライミングを愛する人のまっすぐであったかい言葉だと思います。僕にとっての「たくさんの人に垣根なく音楽を楽しんでもらいたい」という気持ちと同じ種から生まれているようで嬉しかったな。

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