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「お風呂は人々が心の平安を得るためにすごく重要なもの」 音楽プロデューサー亀田誠治が語る「お風呂と僕」の関係

BAINCOUTUREは、バスルームの可能性を追求して「*オートクチュールのお風呂」を提供するブランドです。そんなブランドが、お風呂の可能性を追求するために始めた新たな試みとして、BAINCOUTURE Magazine™をスタートさせました。様々な角度から、お風呂の役割、位置づけを見直すことで見えてくる新しい世界(カルチャー)を発信してまいります。ナビゲーターには、大のお風呂好きで知られる音楽プロデューサーの亀田誠治さんが就任。様々な領域で活躍する個性豊かなプロフェッショナルの方々と共にお風呂を文化的に解剖していきます。

*オートクチュール  高級衣装店のこと。 デザイナーが顧客のために完全オリジナル衣装をデザインするもの。 生地、仕立ても含め最高級の完成度を持つ。

亀田さんのナビゲートの5つの記事はこちら

亀田誠治

音楽プロデューサー・ベーシスト
椎名林檎、スピッツ、GLAYなど、数多くのアーティストのプロデュースを手掛ける。東京事変のベーシスト。07、15年に日本レコード大賞・編曲賞、21年に映画「糸」にて日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞。他、舞台音楽やブロードウェイ・ミュージカル「ジャニス」日本公演総合プロデューサーなど活動は多岐に渡る。19年より、日比谷音楽祭の実行委員長を務める。

BAINCOUTUREのお風呂づくりは、僕が音楽をつくる時の姿勢と似ている

この度、BAINCOUTUREは、あらゆるボーダーを越えて活躍する創作者の感性をお風呂に吹き込み、可視化していくことを通じ、新しいカルチャーを創っていくためのマガジンを立ち上げました。マガジンのナビゲーターとして、ジャンルレスな表現を追求されている亀田さんこそ適任だと思いお声がけさせていただきましたが、まずは今回のお話を聞いた時、率直にどう思われましたか?

当たり役がきたと思いましたよ!(笑)
音楽について語ることは常々やっているのですが、この頃は、「素晴らしい人生ってなんだろう」とか「人が気持ちいいと感じることってなんだろう」って考えるようになりました。そして、お風呂については僕なりの経験や思いがあるので、そんな”お風呂と僕の関係”についてお話できると楽しいんじゃないかなと思いました。

ちょうど音楽以外のことについても発信していくことに関心を持っておられたんですね。

今、コロナ禍や世界の様々な国で戦争がある中で、人と人の心の距離がすごく気になっています。そこを埋めていくためには、一人ひとりの毎日が「気持ちのいい状態」であること、僕はよく「Peace of Mind」と言っているのですが、人々の「心の平安」が保たれていることが大事だと思っています。

「Peace of Mind」、重要なキーワードですね。たしかに、現代人にとって「心の平安」は非常に重要なテーマだと思います。

本当にそう思います。そして、それぞれが自分に合った心の平安を保つための方法を持っているといいなと思っています。音楽もそのひとつだし、スポーツもそのひとつでしょう。趣味や人間関係も入ってきます。
そのうち、ぼくの中では、お風呂が「Peace of Mind」のためのすごく重要な役割を果たしているので、そんなことを伝えていきたいと考えていました。

なるほど。「Peace of Mind」の視点からお風呂の持つ力について考えるということですね。

はい。こんな時代だからこそ、音楽が人の心に沁みていく様に、色々な幸せの感じ方があるということを自分の実際の体験から得られた言葉で伝えられると素敵だなって。ぼくは基本的に批評ではなく、全部、自分が経験して、これはいいなって思ったものをレコメンドしていくというスタンスをとっているのですが、今回は音楽ではなく、お風呂でそれができたらと思っています。

BAINCOTUREブランドディレクターの三谷と一緒にショールームを見学する亀田さん

BAINCOTUREブランドディレクターの三谷と一緒にショールームを見学する亀田さん

BAINCOTUREブランドディレクターの三谷と一緒にショールームを見学する亀田さん

BAINCOTUREブランドディレクターの三谷と一緒にショールームを見学する亀田さん

BAINCOTUREブランドディレクターの三谷と一緒にショールームを見学する亀田さん

BAINCOUTUREのブランド、プロジェクトについてのご感想を教えてください。

普段、自分が音楽をつくる時の姿勢と似ていると思いました。これまで数々のインタビューで僕は「アーティストと一緒にオートクチュールの音楽をつくる」というお話をしているんです。音楽プロデューサーをしていると「亀田さんがプロデュースした時の◯◯さんみたいな音楽をつくって欲しい」というオファーをされることがあるのですが、あるアーティストが成功したことを別のアーティストでやろうとしても絶対に上手くいかないんですよ。20年、30年と経験を積んでいくことで、僕の音楽づくりは全部オートクチュールになりました。

たしかに、亀田さんは一人ひとりのアーティストと常に誠実に向き合っておられるイメージがあります。

BAINCOUTUREは、クライアントさんが何をつくりたがっているのかを考え、それを引き出して、イメージを擦り合わせていくというお話がありましたが、音楽のプロデュースでも、アーティストが何をやりたいのかを考え、対話を重ねていくということがすごく重要なんです。相手の言うこと、考えていること、喉元まで出かかっていることを引き出して、整理して、こういうかたちがあるよと提案をするのがプロデューサーの仕事。BAINCOUTUREのお風呂づくりと、僕の音楽づくりは同じことをやっていると思いました。バンクチュールならぬ、カメクチュール!(笑) なので、ブランドの考えや取り組みには、めちゃくちゃ共感しています!

自身が主催する『日比谷音楽祭』で演奏する亀田さん

お風呂は「水に流す」ことで自分をリセットする場所

BAINCOUTUREではこれからお風呂の可能性を広げていきたいと考えています。亀田さんは1日に5~6回入るというほど、大のお風呂好きを公言しておられますが、そんな亀田さんにとってお風呂はどんな場所でしょうか?

お風呂に入ると、慌ただしい日常の中にしおりを挟むように、小さなリセットをかけることができるんです。気分転換をすることで、次へのスタートをきることができる。ぼくにとってお風呂はそんな場所です。

僕は1日に5~6回お風呂に入ります。ひとつの予定が終わったら、たいてい次の予定の前にお風呂に入ると決めているのですが、一番の目的は、自分自身の気持ちを切り替えるためです。次に会う人には、新しい亀田誠治として会いたい。だから「前の現場の匂いを残さない」ということを大切にしています。

「前の現場の匂いを残さない」ですか・・・。すごくプロフェッショナルな姿勢ですね。

これは相手に対するリスペクトでもあるし、自分に対してスイッチを切り替えることでもあります。日本語に「水に流す」という表現がありますが、ぼくはお風呂に入るたびに「水に流す」ことによって新しい亀田誠治として次の現場に行くことができると思っています。そんなことをしていると1日に5回くらいお風呂に入っちゃうんですよ(笑)

お風呂で自分をリセットをするというお話すごく興味深いです!もう少し聞かせていただいてもいいですか?

つまり、「水に流す」ことは、何があってもずっと根に持たないということなんですよね。お風呂に入って、フーッて何もかも吐き出して、大変だったことも忘れることができます。よくインタビューで「今回1番苦労したことは?」って聞かれるんですけど、「ごめん、苦労したこと忘れちゃいました」って答えています(笑)お風呂のおかげで、大変だったことも忘れちゃう。だからまた、大変なことに挑戦できちゃうんです。

亀田さんはいつ頃からお風呂好きになったのですか?

小さい頃から、絶対に毎日湯船に浸からないとだめなくらい、お風呂は好きでした。特に意識してお風呂に入るようになったのは、ここ10年~15年くらいです。15年程前に、ベースの弾きすぎによる酷い腱鞘炎をわずらいました。その時に、もしかしたら中学生の時からずっと続けてきたベースが弾けなくなるかもしれないということになって、これは、僕にとってアイデンティティに関わってくるので、腱鞘炎を治したい、自分の身体のコンディションを整えたいと思い、生活習慣を変えました。そんな中、血行をよくするためにお医者さんからお風呂をすすめられたこともあって、お風呂に入る回数が増えたんです。

健康のための生活習慣の見直しがきっかけだったんですね。

そうなんです。また、元々冷え性なので、身体を温めて基礎体温を上げたいというのもお風呂によく入るようになった理由のひとつです。なので、ぼくにとってお風呂は意識の上では「水に流す」ための習慣なんですけど、背景にはいわゆる疲労回復、健康増進という目的もあります。だから、お風呂に入ることは自分の中では本当に大切な行事で、ご飯を食べるのと同じくらいの感覚です。実際お風呂の回数の方が食事の数よりも多いですが(笑)。

お風呂に入ることが、亀田さんにとって日常生活と切っても切り離せない大切なものであることがすごくよく分かりました!

短めの温冷浴で整う

続いて、亀田さんのおすすめの入浴方法について教えてください。

ぼくは短めの温冷浴をしています。お風呂は42℃が好きなんですが、熱いお風呂に数分入って、汗をかいてきたら、冷たいシャワーを浴びる。そして、もう一回熱いお風呂に入ると、身体がジーンとするのですが、これが血流がよくなっている瞬間なんです。これを何セットか繰り返していると本当に心身が整ってきます。

交互浴はお風呂とシャワーがあればできるので手軽でいいですね。

音楽プロデューサーをやっていると、感覚的な発想が求められる時や、ビジネス的な視点が求められる時など様々な場面に遭遇するのですが、どんな状況にもしなやかに対応できるようにするためには、お風呂に入って自分を整えておくことが大切なんです。

普段はどちらでお風呂に入ることが多いですか?

まず、朝は絶対に自宅の42℃に設定したお風呂に入ります。自宅とは別に自分のアトリエのような場所があるのですが、そこにもお風呂があって、自分の好きなタオルや石鹸などを置いています。あとは、普段通っているジムにスパがついているので、ラジオやテレビの収録の合間に30分だけ行くこともあります「水に流す」ためのお風呂なので、入っている時間は短いことが多いのですが、15分~30分空いた時間があったら、気持ちを切り替えるためにお風呂に入っています。

普段入るお風呂はある程度決まっていて、自分にとって心地よい環境をつくっているんですね。

そうですね。ちなみに温泉や銭湯、サウナもめちゃくちゃ好きですよ。ツアーで地方に行くときには、地元の人に「どこがいい?」って聞いて、メンバーを誘って、温泉や銭湯に繰り出しています。

亀田さんが理想のお風呂をつくるとしたら、どんなお風呂をつくりたいですか?

実は数年前に自宅のお風呂をつくり変えたくて、色々調べていたことがあるんです。一旦、計画を中断していたのですが、今日BAINCOUTUREさんのショールームを見て、また、やっぱり、お風呂場をつくり変えたくなりました。もし、つくるということになったら、是非、ご相談したいです(笑)自分がやりたいことを全部つめこむと健康ランドになっちゃうのですが(笑)

例えば、浴槽が自分の身体にフィットする気持ちのいいものをつくりたいです。デザインはすごくシンプルなものでもいいかもしれません。あとは、今の家では難しいのですが、お風呂が外のテラスと繋がっていたりすると最高ですね。家の中に、心からリラックスできる空間があるといいですね。たかがお風呂、されどお風呂で、お風呂にこだわることで、自分らしくいられるというのがすごく重要なことだと思います。

お風呂の力で人々が「Peace of Mind」=「心の平安」を得られる社会へ

これからマガジンでお風呂の魅力を発信していく上で、亀田さんが関心のあるテーマはありますか?

やはり、はじめにお話した通り、人々の「Peace of Mind」=「心の平安」です。世の中を見渡してみると「なんでみんなこんなに気持ちが荒れちゃってるんだろう?」と思うことが多いので、そういうことがお風呂をきっかけにゆるんでいくといいなと。「心の平安」のためには気持ちのいい生活がベースにあることが大切で、お風呂はそのための重要な要素だと思います。日本にはお風呂の文化が根付いていて、お風呂は日本人の生活の一部に組み込まれているので、そんな身近な存在であるお風呂の力をうまく活用して、みなさんが心の平安が得られたらいいなと思っています。

我々も、様々な角度からお風呂の可能性や魅力を発信していきたいと思っています!

今回のプロジェクト自体を、あ、いいなと直感的に感じました。この後、それぞれの分野でご活躍されているプロフェッショナルの方々の記事を読ませていただき、僕なりのコメントさせていただくかと思いますが、非常に楽しみにしています。様々な角度から鋭くお風呂に切り込むマガジンって、これまでになかったんじゃないかな。ぜひ読んでいただいて、みんなにもっとお風呂を好きになってもらいたいですね。間違いなく、お風呂が好きな人が増えるとみんなの心が穏やかになるはず。裸のつきあいとはよく言ったものです。お風呂がつなぐ人と人の思いや日常。みんなまだ気が付いてないけど、お風呂はそんな力を持ってるんじゃないかな。そんなお風呂の持つ力、「お風呂力」について考えていきたいです。

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