【後編】お風呂以外の時間も楽しめる“もう一つのリビング”としての空間|BAINCOUTUREと考える理想のバスルーム vol.2 モデル・矢野未希子
BAINCOUTUREでは、お客さまそれぞれのライフスタイルにあったオーダーメイドのお風呂空間を提供しています。この連載は、そんなBAINCOUTUREの制作チームによって、さまざまな業界の最先端にいる方々の理想のお風呂をつくってみようという企画です。
今回ご登場いただくのは、数々の雑誌、テレビ、広告などで活躍するモデルの矢野未希子さん。今年6月には自身がモデルからディレクションまで行った自主制作の写真集発売、写真展の開催を行なったばかりです。ここでは、前半の記事で伺ったお風呂にまつわるエピソードの続きとして、矢野さんにヒアリングを行いながら、具体的な理想のお風呂のアイデアをCGパースとして表現してみました。
矢野さんと一緒に考える、理想のお風呂

矢野さん はい(笑)。では、すごく具体的なことなのですが、おばあちゃんとの旅行で気づいたのが、足腰が悪いと浴槽を跨げないということでした。新居ではとりあえず二人で住むわけですが、もし今後おばあちゃんと暮らす場合や、自分たちだって足を怪我したりすることもあると想像すると、浴槽に入りやすいように床に埋まっているプールのような形がいいなと思ったんです。
長い生活を考えた上での設計はとても大切な視点だと思います。具体的なサイズや素材などにおいて、こだわりはありますか?
浴槽が大きい必要はないと思います。わたしはコンパクトな部屋の方が落ち着けるタイプなので、お風呂自体も広すぎないサイズ感がいいな。素材で言えば、天井は木がいいですね。
床や壁も、アイボリーみたいな温かみのある色が好きです。土っぽいというか、自然に近い色味が好きなんだと思います。タイルを使うにしても、ツルツルしたものより表情・質感のあるものの方が好きなんです。

わたしの体質的にどうも熱が頭の方に上がりやすいそうで、足湯がいいよということを先生から言われました。
足湯エリアがあるというのもいいですね。昨今のサウナブームもあって、水風呂との交互浴のために浴槽を二つ設置するような事例も増えています。弊社でホテル向けに提案した、足湯のためのお風呂なんかもあるんです。わ、最高の贅沢。足湯、いいなあ。いま話してて、だんだんひらめていてきました。いつも足湯やろうと思っても、普通のお風呂場だと座るところがなくて落ち着かないし、かといってわざわざリビングにお湯を運ぶのも濡れそうで嫌だし、もっと気軽に足湯ができる空間があればいいなって。もし、足湯エリアをつくるなら、まわりは木がいいですよね。外の自然を感じながら、読書をして、足湯を楽しむ。
最近は、どうやって外の景色とつなげるのかという相談も増えました。外の景色の変化を楽しめるように内側の素材を調整することもありますし、そうなるとお風呂のためだけに使うのはもったいないということで、パウダールームを拡張したり、リビングやジムのようにしてみたり。お風呂以外の空間としても使うことのできるお風呂の可能性があると思います。
たしかに、わかります!お風呂をお風呂以外の時間に使うってことはあまり考えないですもんね。座る場所があったり、お茶ができたり、ストレッチをしながら景色が楽しめるようなお風呂はいいかもしれませんね。時間のある休日なんかには一回入って、横のスペースでちょっと休んで、また入浴するみたいな贅沢もできますし。
それに、小さいお子さんがいるとお風呂がとにかく大変だって聞くので、子どもをお風呂に入れた後、横で遊んでおいてもらいながら、自分はゆったりとお風呂に入る。そんなふうに、お風呂に入ることに前向きになれるといいですよね。お風呂がもう一つの部屋になるみたいな考え方って、なかなか考えたことがなかったので新鮮です。
実は今回の新居では、家のなかだけでもたくさん楽しめるようにしたいと思っていて、できるだけたくさんの居場所をつくりたいということを最初から考えていました。お風呂のためだけだと考えるとなかなか予算もかけられないですが、今日のような考え方でお風呂を捉えると、もっといろんな可能性が広がるなと思います。
矢野さんへのヒアリングからBAINCOUTUREがCGパースを制作

テーマは「新しい居場所としてのお風呂の可能性」。お家のなかにたくさんの居場所をつくりたいという矢野さんにとって、第二のリビングになれるような、新しい居場所としてのお風呂の可能性を感じられるCGパースが完成しました。ここでは、制作にあたって考えた2つのポイントをご紹介します。
①お風呂時間以外にも楽しめる空間設計

大きな特徴は、大きさと深さの違う2つの浴槽と浴槽周りのフロアが広々していること。ちょっとした休憩やティータイムなど、従来のお風呂時間以外にも使っていただけるような空間を目指し、大きく深い浴槽と、足湯などで使いやすい小さく浅い浴槽の二つを設けました。さらには大きな窓やお庭などの要素も組み合わさることで、新しい浴室の利用シーンや過ごし方を想像するきっかけとなる空間になっているかと思います。
小さい方の浴槽の深さは40cmで、座ってちょうど足裏が底に付き太ももに負担がかかりにくい高さにしています。大きい方の浴槽は50cm。ステップをつけているので半身浴をしながら外を眺めてのんびりすることもできます。さらに浴槽を床面の上に置くのではなく埋込型に。まるでリビングにいるかのような感覚で、ゆっくりとくつろぐことのできる空間となりました。今は手すりなどは設けずすっきりとした見た目にしていますが、ライフステージの変化に合わせて使い方や設備を変えていくことも可能です。
クッションにもたれかかって、小さい浴槽に足をつけながら、雑誌を読んだり、漢方茶を嗜んだり。
「どんな時でも、いつまでも、お風呂時間を楽しんでいただきたい」という思いから、刻々と移り変わる空の色や、庭の草木の移ろいを眺めることができ、何度でも入りたくなるお風呂を考えてみました。
②自然とつながるお風呂づくり
まるでリビングから景色を眺めているかのように、お風呂からも広大なお庭や木々を眺めることのできる、大きな窓を2面に取り入れました。縁側を設けることで、中でも外でも空気や自然のにおいを感じとることができる。浴槽周辺にはヒノキを採用し、壁にはあえて土っぽさの残る、凹凸感があるアイボリーのタイルを使うことで、手触りからも自然を感じ、屋外の自然ともつながるような素材選定を心がけています。
今回は、せっかくのお庭を思う存分楽しめるように、入浴するだけではないお風呂の可能性を考えてみました。どんな時間帯でも、浴槽に入らなくても、楽しむことのできる第二のリビングのような空間。お気に入りの雑誌やドリンクを持ち込んで、ただ景色を眺めてみる。そんなひとつの居場所としてのお風呂が生まれました。
- 矢野さんからのコメント
- お風呂時間をしっかり確保したくなり、その時間をさらに楽しみにできるCGパースですね。
1人でのリラックスタイムはもちろん、家族や友人とのんびり話しながら足湯をするといった具合に、お家に遊びに来てもらう際に、一緒に過ごす場所がお風呂という選択肢も増えるなぁと感じました。
リビングのソファーでくつろいだり、縁側に腰掛けるような気持ちで大切な人とお風呂場に集まる…、そんな時間が生活に生まれると思うととてもワクワクしました。
床面が全面フラットというのも贅沢で、祖母や姪っ子が遊びにきた時、お風呂時間がより快適になるのではないかなと感じました。

さいごに
さまざまな業界の最先端にいる方々と、理想のお風呂をつくってみようという企画の第二弾として、矢野未希子さんとライフスタイルに寄り添った1つの居場所となるお風呂をイメージすることができました。これからも様々な視点から理想のお風呂を考えていきます。ご期待ください。
Text :Takahiro Sumita
Photo:Yutaro Yamane
Hair & Make-up: Mikako Kikuchi
Styling:NIMU (makiura office)
Release:2023.10.23