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【前編】自然と共生する信楽で、ライフスタイルを変えうるお風呂の可能性|NOTA&design加藤駿介 BAINCOUTUREと考える理想のバスルーム vol.5

BAINCOUTUREでは、お客さまそれぞれのライフスタイルにあったオーダーメイドのお風呂空間を提供しています。この連載は、そんなBAINCOUTUREの制作チームによって、さまざまな業界の最先端にいる方々の理想のお風呂をつくってみようという企画です。

今回ご登場いただくのは、NOTA&designの加藤駿介さん。信楽をベースにオリジナルのプロダクトをつくりながら、さまざまな作家の作品を取り扱うセレクトショップのNOTA_SHOPの運営を続けています。そんな加藤さん、実は購入した自宅のリノベーションを考え続けて早4年。お風呂についても本気で悩んでいるということですが、まず前半では普段の生活のスタイルや、印象的なお風呂体験などについてお話を伺いました。

加藤駿介

1984年、滋賀県信楽町生まれ。大学在学中にデザインを学ぶためロンドンへ留学。東京の広告制作会社に勤務後、地元の信楽に戻り陶器のデザイン、制作に従事する。2017年に自社スタジオ「NOTA&design」、ギャラリー&ショップ「NOTA_SHOP」を設立。陶器を作る際に粘土同士をくっつけるのり状の接着剤「ノタ」のように、人と人、人ともの、時代や業種など、あらゆるものと考えをつなぐことをテーマにしながら、陶器の制作を中心にグラフィック、プロダクトデザイン、インテリア設計、展示構成、ブランディングなどを手掛け、ギャラリーを併設した「NOTA_SHOP」では、工芸、アート、デザインを分け隔てることなく、様々な作家や商品を紹介している。

Instagram: @kato_shunsuke ↗︎ @nota_shop ↗︎  HP: NOTA&Design ↗︎

4年前に始まったリノベーション構想

まずはNOTA_SHOPのある滋賀県・信楽という場所について、教えていただけますか。

加藤さん 信楽は焼き物の産地で、原料が取れる土地です。僕は幼少期からここで育って、両親もその仕事に従事していました。時代が変わってだんだんと若い人も減ってきましたが、僕は焼き物が持つ機能だけではない部分に魅了されて、その良さを残していきたいと思うし、そういう役割を担っていると感じています。

この場所が自然豊かなのは昔から変わりません。都会に住んでいると時間をかけてキャンプをしに行ったりすると思いますが、我々の場合はそれが日常にある。一方で、車社会なので普段からお酒が飲めなかったり、虫がたくさんいるのが厄介だったりと、自然の中で暮らすからこそのデメリットもあるとは思います。なので、東京へ行った時には、たくさんお酒を飲んで楽しんだりもします(笑)。

都会での暮らしも経験した上で、信楽での暮らしはどう変わりましたか?

都会から戻ってくると、季節の変化をより感じるようになりました。自然の変化を観察するのは面白いですよね。現在の暮らしについて言うと、実は4年前に自宅を購入したのですが、リノベーションの構想を立てつつ、放置していまして……(笑)。賃貸の自宅もあるのですが、この4年はほとんど事務所で寝るような暮らしをしています。

というのも、色々とやりたい仕事があって、だいたい日中は来客があったり、スタッフ対応をしているので、自分のやりたい制作や考えごとをするのが夜になってしまうんです。でも、夜になって一旦自宅へ戻ってお風呂に入ってしまうと、気持ちがオフになってしまうじゃないですか。それこそがお風呂のいいところだとも思うのですが、自分の場合はやりたいことをやるためにも事務所で夜遅くまで仕事をして、気がついたらそのまま事務所で寝てしまう。翌朝起きて自宅に戻ってお風呂に入って、そのまま仕事へ戻るというような生活をしています。

絶対に良くないんですけどね(笑)。なので、リノベーションをする時にはお風呂をちゃんと考えたいと思っているし、自宅がきちんとできあがったら生活がもっと良くなるんじゃないかと期待をしているんです。

ご自宅のリノベーションの構想があるのですね。

そうなんです。中古の物件を購入して、プランまで作ったのに、他の仕事が忙しくなってきて自分のことをどんどん後回しにしているうちに4年が経ってしまいました。別に賃貸の家があるので、一部改修を始めて、ブルーシートをかけたまま、そのままですね。お風呂についても悩んでいて、今日はBAINCOUTUREさんに本気で相談するつもりで来ました(笑)。

お家の様子を見せてくださる加藤さん
構想されているリノベーションについて、少しお伺いしてもいいですか?

まず、あまり人工的な素材を使いたくないと思っています。自分たちの陶器はもちろんですが、他にも木やガラス、金属などで構成したい。特に今回は新築ではなく既存物件のリノベーションなので、躯体の制約の中で素材の良さを生かしていきたいなと考えていました。

この物件はもともと県が保有していた寮のような物件で、目の前には川や田んぼ、山が広がっていて、駅からも近い。建物自体は2階建てで、1、2階あわせて3つの部屋がありました。その構造は変えられないので、バルコニーの部分を拡張して部屋にしたり、バルコニーを介して繋がっていなかった部屋を回遊できるようにしたいと思っています。お風呂は1階に設置予定で、バルコニー部分をサンルーム的にしても面白いかなと思っています。

ちなみに、自宅にしようと思っている建物のすぐ横に、大きな母屋もあるんです。実はこの母屋の方を使って、いつか宿をやってみたいなと思っていて。ある意味でその実験として、新しい自宅ではお風呂も含めていろんなチャレンジをしたいなと思っています。

気分にあわせて日々変わるお風呂の時間と過ごし方

現在のご自宅でのお風呂体験はどのようなものですか?

今住んでいる家はかなり古くて。お風呂には窓がなくて、樹脂でできた浴槽もかなり狭く、足を伸ばせないくらい。夜にお風呂に入ると、気づいたら寝てしまうんですよね。狭いので溺れることはないんですけど、お湯が冷めたら寝ぼけながらお湯を足してまたうとうとして……。気がつけば朝になっているという。

そんな、かなり悲惨なお風呂生活をしていると思います。だからこそ、リノベーションにおいてもお風呂に対する思いだけは強い。お風呂空間が良くなれば、生活そのものが変わるんじゃないかと思うんです。今の生活の中にオフの時間がそもそもほとんどないので、これから自宅ができたら、きちんとオフも楽しめるような生活ができるんじゃないかなと。

これまで出張や旅行などで、印象に残っているお風呂体験はありますか。

イベントに出店するために岩手県へ行った時に、地元の方から鉛温泉の藤三旅館という宿を紹介してもらいました。レトロな印象の建物自体も良かったんですけど、とにかく岩風呂の浴槽が深くて。湯船の中で座れないので、プールみたいに立ったまま入るんです。

もう一つ印象的だったのが、脱衣所がそのまま浴室内にあること。普通は浴室と脱衣所が分かれていると思いますが、僕は寒いのが苦手なので、脱衣所で洋服を脱いでお風呂に入るというステップそのものが億劫で。だからいつもお風呂が面倒になるんだと思いますが、この温泉では浴室内で服を脱いでそのままお風呂に入ることができる。少し独特なお風呂体験でしたが、とても印象に残っています。

普段の生活では、お風呂に何を求めますか?

いわゆるルーティンみたいなものがなくて、気分によってお風呂に入る時間も違ったりするので、むしろ用途にあわせて使い分けられるお風呂がいいなと思います。頭を切り替えるためにさっと入りたい時もあれば、ゆっくりと浸かって考えごとをしたいこともある。温度も熱い方がいい時もあるし、ぬるいお湯に浸かりたい時だってありますよね。あと、温浴施設だと寝そべってゆっくりできるようなお風呂があるじゃないですか。あれはあれで好きですし、だけど、自宅にあれを置いたら寝てしまうので危険だろうなと思ったり(笑)。

ルールがないというのは自宅以外でも変わらないんですか?

強いて言うならば、やはり朝に入ることが多いですね。出張先では、帰りを気にせずお酒が飲めるので、ホテルに戻ってそのまま寝てしまうんです。お風呂に入ると目が覚めちゃうんですよね。自宅にいる時でもそれが嫌なので朝風呂が多いんですけど、そうするとお風呂に入らないままベッドに入ることになるので、妻からは嫌がられます。だから事務所に朝までいることも多いのかもしれません(笑)。だからこそ、リノベーションにあわせてお風呂にこだわったら、こういうライフスタイルが変わって、人生そのものが劇的に変わるんじゃないかと期待してるんです。

さいごに

前半では加藤さんの信楽での暮らしや、お風呂にまつわる体験を中心にお話を伺いました。後半の記事では、現在検討しているリノベーションをベースにしながら、加藤さんとともにより具体的な理想のお風呂を考えてみたいと思います。ぜひ、お楽しみに。

つづく

Text :Takahiro Sumita
Photo:Yuki Nobuhara

Release:2024.5.21

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