【前編】自然とともにある新居でのゆたかな生活を想像しながら|BAINCOUTUREと考える理想のバスルーム vol.2 モデル・矢野未希子
BAINCOUTUREでは、お客さまそれぞれのライフスタイルにあったオーダーメイドのお風呂空間を提供しています。この連載は、そんなBAINCOUTUREの制作チームによって、さまざまな業界の最先端にいる方々の理想のお風呂をつくってみようという企画です。
今回ご登場いただくのは、数々の雑誌、テレビ、広告などで活躍するモデルの矢野未希子さん。今年6月には自身がモデルからディレクションまで行った自主制作の写真集発売、写真展の開催を行なったばかりでした。そんな矢野さんから、日常におけるお風呂時間のこだわりや忘れられないお風呂体験などについて、BAINCOUTUREのショールームにて伺いました。
空間づくりを学ぶきっかけとなった新居

矢野さん
自分がお家をつくるにあたって、素敵なお家を見に行ってみたいと思ったことがきっかけでした。雑誌での特集もよくありますが、実際に自分の目で見てみないと、風の流れとか空気とかわからないものがあるだろうと思ったんです。それで、YouTubeのルームツアーを始めて、いろんなお宅へお邪魔させていただくなかで空間づくりのことを学んできました。
同じ頃から実際に引っ越す土地を探したり、建築家さんにご連絡してご依頼させていただく建築家さんを探したり。そんな生活のなかで、空間について考えることが自然と身近になってきたような感覚があります。
いまは大体の間取りが決まって、少しずつ細かなディテールや素材を詰め始めているところです。新しくお家を建てる場所は360度すべてが森に囲まれているので、とにかく自然を生かしたいなと考えています。家のどこにいても自然を感じられるようにしたいから、窓の場所にはこだわろうかなと。
お風呂についても、なにか考えていることはありますか?お風呂からも様々な木々や植物が見えるので、できるだけ大きなL字型の窓をつけたいなと思っています。まるで外にいるような感覚でお風呂が楽しめたらいいなと。
結婚10年を経て、自然とともにある生活へ

新しいお家はとにかくお庭が素敵なので、これからは自然のなかに身を置くことを日常に取り入れたいなと思っています。もともとその土地を持っていた方が、人生の長い時間をかけてお庭を手入れしてくれていたそうで、毎月異なるお花が満開になって、季節を楽しむことができるんです。そんな愛情の詰まった土地を引き継いだので、大切にしていきたいなと。お庭でとったお花を家に飾ってみたり、お庭で野菜を育てて食べたり、自然とライフスタイルをつないでいくような生活にシフトできたらいいなと考えています。
Youtubeでも農作業にチャレンジする矢野さんを拝見しました。
夫の実家が京都で農業をやっているんです。結婚した当初は「畑があるんだ」くらいにしか考えてませんでしたが、10年間一緒に過ごすなかで、当たり前に畑のものを食べるような暮らしだったり、ご近所さんとお裾分けをし合うような生活がすごくいいなと思うようになりました。
90歳を超えたおばあちゃんも畑で育てたイチゴをそのまま食べたりしていて、今でも元気に暮らしているのを見ると、わたしもこういうふうに生きていきたいなって強く感じるんです。地域の交流があって、体も心も元気で、こんなふうに歳を重ねていきたいなと。
そうですね。休みのたびに新しいお庭まで出かけてランチを食べたりしています。この前は紫陽花が満開だったので、お菓子屋さんをやっている友人と出かけて行って、たくさんの紫陽花を積んでお裾分けしました。新しい土地と出会ったことで、友達との遊び方や暮らし方も大きく変わった気がします。
普段の生活において心がけていることはありますか?
最近は写真展の準備に集中していたので、すごく忙しくて、健康管理があらためて大切だなと感じています。たくさんの方が見にきてくださるので、元気に接したいですし、どうしても気も張っちゃいますし。そういう意味でも、忙しくても朝食をきちんと食べる、朝には必ず自分でつくったお味噌汁と白米を食べる、漢方茶を毎日飲む。そんなことを欠かさずに続けています。
もちろんお風呂の時間も大切ですし、お灸をするとか、梅干しを食べるとか、シンプルに自分でできるケアは日常に取り入れつつ、お世話になっている先生もいるので、プロの手を借りながら、体調を整えるようにしています。
きっかけは、おばあちゃんとの旅行の思い出

あまり長湯はしないのですが、10〜15分くらいの時間をいかにリラックスして過ごせるかを意識しています。お風呂ではお気に入りの入浴剤を使ったり、マッサージソルトでマッサージをしたり。最近だと漢方の入浴剤にハマっていたり、食塩ではない塩、神社なんかにも売っているようなお塩を入浴剤として使ったりもします。今はいろんなアイテムに頼りながらお風呂を楽しんでいます。
印象に残っているお風呂体験はありますか。
やっぱり自然のなかで入る露天風呂が大好きですね。旅行に行くときも温泉を求めて場所やホテルを調べることが多いんです。ああいう空間で入るお風呂は体も心も満足度も高いですから。なので、旅先でも食事までにはホテルへ戻って、食事前、就寝前、翌朝と3回はお風呂に入ります。
具体的なところだと、昨年草津温泉に行ったときに自然のなかに源泉のある公園(西の河原公園)みたいな温泉施設があって、すごく幻想的でした。足湯だけですが、かなり長い時間滞在してしまいました。
あとは、沖縄旅行が台風で欠航になり、急遽東北に向かった弾丸旅もとても印象に残っています。秋田の乳頭温泉郷まで赴くままに車を走らせたのですが、この地はなんだかタイムスリップ感があり、「旅」という感覚も強く、とても思い出深いものになりました。2泊3日でこのあたりにある色んな温泉宿をまわりましたが、”自然の中の温泉”という言葉がピッタリな場所でした。
銭湯も好きで、よく行きます。実は、ジェットバスにハマっていて。少し前に夫の家族と一緒に温泉旅行に行ったのですが、おばあちゃんが普段あまり使わない車椅子を使って少し疲れちゃったみたいで。一緒に大浴場に行ったんですけど、入り口の一番近いところにあったジェットバスがよくて、ものすごく疲れが取れたって言うんです。
それでどんなもんだろうと思って、翌朝わたし一人で同じジェットバスを使ってみたんですけど、実はちょっと故障していて片側からしか水流が出ていなくて。おばあちゃんはそんなことは一言も言わず、嬉しそうに「疲れが取れた」って言っていたんですよね。そんなおばあちゃんのことを考えるとなんだか感慨深くなってしまって。今あるもので楽しむ姿勢がとっても素敵だなと思って、わたしもつねにその精神を感じていたいから、最近では銭湯に行くたび必ずジェットバスを使って、おばあちゃんとの時間を思い出してしまうんです。
世代を超えてコミュニケーションをとることのできる空間で、裸の付き合いだからこそ、いつもはできない話もできるじゃないですか。おばあちゃんとわたしは56歳も離れているけど、一緒にお風呂を楽しむことができるし、話すことができる。あらためて、お風呂っていいなと思いました。

さいごに
前半では矢野さんの日常におけるお風呂時間のこだわりや空間に対する考え方などを伺いました。後半の記事では、矢野さんとともに理想のお風呂を考えながら、アイデアを具体的なイメージにしてみたいと思います。ぜひ、お楽しみに。
つづく
Text :Takahiro Sumita
Photo:Yutaro Yamane
Hair & Make-up: Mikako Kikuchi
Styling:NIMU (makiura office)
Release:2023.09.29