【前編】インテリアスタイリストが見た、土地に紐づくお風呂体験の面白さ |インテリアスタイリスト・岩佐知布由 BAINCOUTUREと考える理想のバスルーム vol.06
BAINCOUTUREでは、お客さまそれぞれのライフスタイルにあったオーダーメイドのお風呂空間を提供しています。この連載は、そんなBAINCOUTUREの制作チームによって、さまざまな業界の最先端にいる方々の理想のお風呂をつくってみようという企画です。
今回ご登場いただくのは、インテリアスタイリストの岩佐知布由さん。前半ではインテリアスタイリストという仕事についてや、暮らしとも密接な関係にあるお風呂体験などについて、様々な空間のインテリアを見てきた岩佐さんならではの視点でお話を伺いました。
主役のまわりを整えるインテリアスタイリストという仕事
岩佐さん もともと子供の頃から整理整頓や模様替えが好きだったんです。それに、叔父が大工やインテリアデザイナーだったことからも、馴染みのある仕事だったのかもしれません。現在の仕事内容はさまざまですが、広告ビジュアルやメーカーのカタログのスタイリングなどを中心に、モデルルームや展示会のディスプレイを担当することもあります。最近では宿泊施設のインテリアコーディネートを担当させていただくこともあり、私の地元でもある茨城県の霞ヶ浦にある古民家を改装した 「水郷園」 という一棟貸しの宿のスタイリングも担当しました。
私の場合は、その空間にどんな人がいてどう過ごしたいか、どんなことを考えて生きているのかをまず考えて、その人にとってどういう空間だったら心地いいのかを想像します。宿泊施設のスタイリングの場合は、施設のコンセプトを伺って、そこに寄り添う形でアイテムをセレクトしたりもします。インテリア雑誌のようにインテリア自体が主役の場合もありますが、多くの場合は主役がいて、それをより引き立てるためにどうやってまわりを整えるかを考えています。
あらゆるものから刺激を受けていると思います。ハイエンドでモダンな空間もかっこいいなと思うし、都築響一さんの「TOKYO STYLE」に出てくるようなリアルな生活空間からも着想を得ることがあります。自分の家でも「工夫シリーズ」という実験的なことをやっていて、お金をかけずに気負わないでできる模様替えやスタイリングをインスタグラムに投稿しているのですが、そうやっていろんな可能性を探ったりするのが好きなんです。
暮らしのなかに、余白とルーティンを
最近は朝起きて、顔を洗って、コーヒーを淹れて、パンを食べる。それからそのままダイニングテーブルで仕事をしています。なんだか区切りがなくなっちゃっているんですよね(笑)。いまの自営業になる前は会社員だったので、定時出社・退勤の規則正しい生活をしていたんですが、ちょっと退屈してきた頃にヨガ教室に行ったんです。そこではヨガをする前に5分間ロウソクを見つめるだけの時間があって、その何にも考えない時間がすごく心地よくて。ヨガは「心の動きを止めること」だと聞いて納得したのですが、そういう余白のある時間を理想として、今は暮らしている気がします。
暮らしのなかで欠かせない時間や体験はありますか?家にテレビがないので、ラジオをつけてJ-WAVEや音楽を聴くのがルーティンかもしれません。朝は別所哲也さんの「J-WAVE TOKYO MORINIG RADIO」を聴いて起きています(笑)。ラジオってテレビにはないような情報があったりもして、聴いていると面白いんですよね。ラジオを流しながら仕事をしていると、視界が開けてくるような感覚になるときがあります。

お風呂はいつも夜に入るんですが、一旦頭を洗ってから湯船に浸かって、体を洗ってまた浸かるというふうに、2回くらい湯船に入ることが多いんです。一時期半身浴にハマったときには1時間くらい入っていましたが、最近は忙しくてなかなか長湯はしていません。それでも、少し心に余裕があれば雑誌を持ち込んで、浴槽の蓋に雑誌を広げて浸かりながら眺めたりしています。
そのほか、お風呂でのルーティンや愛用アイテムはありますか?最近歳とともに体が硬くなってきているなあと感じていて・・・(笑)、お風呂に入ってストレッチをするのですが、湯船で前屈すると思った以上に伸びるんですよね。なので、毎回お風呂に使って、向こう側のふちに手が届くまで前屈をしています。愛用のアイテムは、備長炭繊維と綿、トウモロコシ繊維からできた 「GINZA TANAGOKORO のボディタオル」 で、いつも体を洗うときに使っています。

街の銭湯がすごく好きなんです。若かった頃は、自転車に乗っていろんな銭湯に行っていました。ちょっと古くて風情がある感じも素敵だし、いろんな人が集まるから一人じゃない感じがしていいんです。まわりにいる人を観察しながら、あんなふうに歳をとるのかとか、若いときって肌が綺麗だったなとか、そんなことを考えたりもします(笑)。
それに、銭湯って開放感があっていいですよね。室内銭湯でも天井が高くて気持ちいいし、壁画も銭湯によって異なるので、まるでアートを楽しむみたいに壁画を眺めに行ったりもします。露天風呂や屋外のリクライニングチェアから都会の空を眺めるのもいいし、ジャグジーや電気風呂、頭だけ冷やせる冷水枕のような機能もいい。室内に池があるような銭湯もあったりして、もはや銭湯って一つの文化だと思います。
20代の頃にインドへ3人で旅をしたとき、そのまま残って一人旅を続けました。そこで出会ったフランス人とインド人から「北部・キルガンガの山頂に天国みたいなお風呂がある」と聞いて。山に登るのも好きだったので、現地で出会ったインド人と一緒に登山をして、そのお風呂へ行きました。お風呂自体は木の壁で仕切られただけのシンプルなものだったのですが、山を登ってきた疲労感と、海外の大自然のなかにいるという状況も相まって、すごく気持ちのいい体験でした。
インド・キルガンガ(岩佐さんご提供)あとは、一時期山形に住んでいたことがあるのですが、山形って全市町村に温泉があるそうなんです。だから、地元の人たちはお風呂がわりにしょっちゅう温泉へ行っていました。雪国なので、冬は内風呂に入ると外気と温泉の気温差であたり一帯が湯けむりで見えなくなることもあって、その土地ならではの体験としてすごく思い出に残っています。そういった土地に根付いたお風呂体験とか、体験とセットになったお風呂体験が好きなんだと思います。

さいごに
前半では岩佐さんのお風呂にまつわる体験を中心に、インテリアスタイリストならではの視点でのお話を伺いました。後半の記事では、岩佐さんとともにより具体的な理想のお風呂を考えながら、アイデアを具体的なイメージにしてみたいと思います。ぜひ、お楽しみに。
つづく
Text :Takahiro Sumita
Photo:Yuki Nobuhara
Release:2024.9.17

