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【前編】充実した「オフ」の時間を支えるお風呂タイム|デザイナー・狩野佑真 BAINCOUTUREと考える理想のバスルーム vol.07

BAINCOUTUREでは、お客さまそれぞれのライフスタイルにあったオーダーメイドのお風呂空間を提供しています。この連載は、そんなBAINCOUTUREの制作チームによって、さまざまな業界の最先端にいる方々の理想のお風呂をつくってみようという企画です。

今回ご登場いただくのは、デザイナーの狩野佑真さん。前半では、幅広い領域を横断しながらデザイナーとして活動する狩野さんのライフスタイルやお風呂体験について、いつもお仕事をされている狩野さんのアトリエでお話を伺いました。

狩野佑真

1988年栃木県生まれ。東京造形大学卒業後、アーティストの鈴木康広のもとでアシスタントを務める。2012年独立。素材研究や部材開発から、プロダクトやインテリアを俯瞰する、独自のデザインアプローチを行う。代表作「Rust Harvest」からA-POC ABLE ISSEY MIYAKEとジーンズを制作。そして「ForestBank」をスキンケアブランドBAUMの什器に展開するなど、自主プロジェクトが企業、ブランドとのコラボレーションへと、多様に派生している。

Instagram: @yumakano ↗︎  HP: STUDIO YUMAKANO ↗︎

ものの見え方を変えるデザイナー

はじめに、狩野さんが普段どのようなお仕事をされているのか教えてください。

狩野さん デザイナーとして活動しているのですが、「〇〇デザイナー」というように領域は決めずにいろいろな仕事をしています。割合としてはプロダクト、インテリア、マテリアルのデザインが多くなってきました。

たとえば、“Rust Harvest”というサビの収穫プロジェクトをやっています。これは、僕が以前拠点にしていた川崎の工業地帯のスタジオで、近くにたくさんサビがあるのを見つけ、何か活かせないかと思って自主的に始めました。サビをアクリル樹脂に転写する技法を開発して、窓や壁、家具などへの加工に挑戦してきました。

他には、最近、「Poop to Tile Project」というプロジェクトで、下水汚泥を使って、LIXIL(リクシル)さんと一緒にタイルを作りました。「ゴミうんち展」 という展示にも出展しているのですが、自分がトイレで流したものってどうなるんだろう?というところから思いついて。下水処理場で灰になった汚泥をもらい、どの温度で焼いたらちゃんと固まるのか実験を重ねました。

クライアントワークももちろんやりますが、こういった自主的なプロジェクトや展示も大切にしています。


Poop to Tile Project|下水汚泥タイルプロジェクト
サビや汚泥など、ユニークな素材を使っていますね。狩野さんがいいなと思うものに何か共通点はありますか?

多くの人がネガティブなイメージを持つものや、そうでなくても綺麗とは思えないものに、ひと手間加えて、見え方や価値観を変えるのが好きなんですよね。「あれ?サビってこんなに綺麗だったんだ」と思ってもらえたら面白いなって。カビも、顕微鏡で見ると複雑な色をしていて綺麗じゃないですか。そういうのにも近い気がします。

狩野さんのアトリエには数多くの実験途中のものたちが並んでいる

狩野さんのアトリエには数多くの実験途中のものたちが並んでいる

狩野さんのアトリエには数多くの実験途中のものたちが並んでいる

狩野さんのアトリエには数多くの実験途中のものたちが並んでいる

最近は、工事が続く渋谷駅の床のバリバリとしたテープが気になりました。毎日多くの人が歩くから少しずつ剥がれていって、その感じがすごく良くて。どうしたらその風合いを自分の手で作り出せるだろうかと、考えていたりします。

そんな風に、普段目に入るちょっとマイナスなことをプラスに変えるのが、自分のモチベーションなんだと思います。

デザイナーとしての活動の仕方もユニークだと思うのですが、こういった活動に至った背景は?

「ワクワクさんが神様!」という感じの、工作好きな子どもでした。だから、何かものづくりをする道に進めたらとは思っていました。

大学卒業後は、1年間、現代アーティストのアシスタントをしてから独立しました。ただ、何かのメーカーや設計事務所などに勤めたわけではないので、わかりやすいスキルもなくて。とりあえずできることからやろうと思って活動していたら、いつの間にかこうなっていました。

1番最初に作ったのが、「スマイルネジ」というプロダクトで、「+」「ー」ではなくて、笑顔のネジ穴が掘られたネジです。何か面白いものを作らなきゃと思って、ネジ工場に問い合わせてなんとか実現しました。これをきっかけに人に知っていただけたので、今の活動にも繋がっていると思います。

Screw:)|スマイルネジ

お風呂は、「何もしない」をする場所

普段は、どんなスケジュールで1日を過ごしていますか?

毎朝9時ごろ、子ども2人を保育園に送っていくところからスタートします。その後スタジオに来るのですが、自宅とスタジオが結構遠くて電車で1時間くらいかかります。だから、スタジオに着くのは10時半〜11時くらい。そこからは夜までずっとスタジオで仕事をしていることが多いです。終電で帰ることも日常茶飯事で、自宅に着くのは夜中12時過ぎですね。

自宅では全然モチベーションが上がらなくて、仕事ができないんです。だから、割とオンオフはっきりと分けた生活になっていると思います。

こんな素敵なスタジオがあったら、毎日ここに来て仕事をしたくなるのも納得です。

ここはもともとスーパーの倉庫として使われていた建物をリノベして作られたビルなんです。クリエイターしか入居できないビルなので、いろいろなものを作っている人が集まっていて。1階がフリースペースで、入居者が自由に作業をしたり撮影に使ったりできるところが気に入っています。クリエイター同士の交流も盛んで、互いに仕事を依頼したり、製作の相談をしたりしてビル内でコミュニケーションすることが多いです。

事務所に関してのこだわりポイントは、キャスターを付けている家具が多いこと。というのも、大きなものを作ったり広い場所を使って作業したりしたい時もあるので、動かしやすくしておくためです。

小さなキャスターがついているテーブル
帰宅が遅くなることが多いとのことですが、お風呂はどんなタイミングで入ることが多いですか?

平日は、夜中に帰ってから1人で入ることが多いですね。今の家は追い焚き機能がないので、ぬるいお湯に浸かっていることが多いです(笑)。それか、時間がなければシャワーだけになっちゃいます。早く帰れる日や休みの日はできるだけ子どもと一緒に入っています。

お風呂で習慣にしていることや、何かこだわりはありますか?

僕は、スマホや本などを持ち込まず、お風呂では“何もしない”ようにしています。

現代人って、情報に触れている時間がすごく多いじゃないですか。電車に乗っている時や歩いている時でさえもスマホ見ちゃうし。だから、そういうのをやめてぼーっとする時間としてお風呂タイムを使っています。

1人の時は特に、30分くらいちゃんとお風呂に入って、ゆっくりしています。子どもと一緒に入ると、「早く出たい!」って言われちゃうのでなかなかそうもいきませんが(笑)。

自宅以外でも、印象に残っているお風呂体験はありますか?

仕事で出張することがちょこちょこあるのですが、そういう時はせっかくなので温泉や銭湯を探すことが多いです。

それで、この前鹿児島に行った時に紹介してもらったのが、霧島ホテルの「硫黄谷庭園大浴場」 です。お湯の種類が多くて、ひのき風呂、赤松風呂、石でできたお風呂など、全部で20個近くのお風呂があるみたいです。僕は日帰りで夕方に行ったのでそこまで混んではいなかったのですが、地元の方から観光の方まで、いろんな方が集まるそうです。

なかでもびっくりしたのが、性別ごとのお風呂の真ん中にフリーゾーンという混浴のお風呂があったこと。地元のおじいちゃんやおばあちゃんが入っていて、誰も周りのことを気にしていないんですよ。「ここではこれが普通なのか」「こんなお風呂があるのか」と不思議な体験でした。温泉や銭湯のようなお風呂って、エンタメとしての面白さもありますよね。

さいごに

前半では、狩野さんの仕事のこだわりや、忙しい毎日のなかでのお風呂の楽しみ方について伺いました。後半の記事では、狩野さんとともに、より具体的な理想のお風呂を考えていきます。ぜひ、お楽しみに。

つづく

Text :Natsu Shirotori
Photo:Yuki Nobuhara

Release:2025.02.07

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