【後編】タイプの違う3つの浴槽にサウナまで。遊び場にも癒しの場にもなるお風呂|デザイナー・狩野佑真 BAINCOUTUREと考える理想のバスルーム vol.07
BAINCOUTUREでは、お客さまそれぞれのライフスタイルにあったオーダーメイドのお風呂空間を提供しています。この連載は、そんなBAINCOUTUREの制作チームによって、さまざまな業界の最先端にいる方々の理想のお風呂をつくってみようという企画です。
今回ご登場いただくのは、デザイナーの狩野佑真さん。後半では、前半の記事で伺ったこれまでのお風呂にまつわるエピソードの続きとして、狩野さんにヒアリングを行いながら、具体的な理想のお風呂のアイデアをCGパースとして表現してみました。
狩野さんと一緒に考える、理想のお風呂
狩野さん お風呂って、一般的には体を綺麗にする場所とされていると思うのですが、それだけじゃないなと思っていて。例えば、子どもが絵の具を使って遊んだり、大人も何かを作ったり、クリエイティブなことをして楽しむ場所としてお風呂を使うのも良いと思うんですよね。すぐに綺麗にできるからこそ、思い切り汚しても大丈夫だなと思って。
実際、若いクリエイターは場所がないから自宅のお風呂で塗装するなんてことはよくあるんですよ。密閉されていて、換気扇があって、浴室乾燥機がついているお風呂ならなおさら作業にピッタリ。

普通のお風呂は浴槽1個だと思うのですが、複数個あったら嬉しいです。遊び場や作業場としてと言いつつも、普通にリラックスできるお風呂も欲しいのが人間だと思うので(笑)。
例えば、深いお風呂と浅いお風呂が並んでいるのなんてどうでしょう? 子どもと一緒に入る時も楽しそうだなと思います。子どもには浅い方のお風呂に入ってもらって、自分は深い方で熱いお湯を入れて入ったり。
一個一個のお風呂は小さくても良いので、色々なバリエーションのお風呂が自宅にあったら楽しそうです。

確かに。サビのアクリルとか、装飾として入っていても良いですよね。
普通のお風呂だと難しいだろうなと思いつつ、岩とか木とかを繰り抜いたバスタブには憧れますね。一見単純な作りだけれど、本物の素材を使っている感じが面白いですよね。そういう意味では、ドラム缶風呂とかも好きです。別の用途で使われていたものが、お湯を張るだけでお風呂になっちゃうなんて。
いくつかあるうちのお風呂ひとつだけ、そういった特注の面白いお風呂があったら嬉しいです。
浴室内は、浴槽さえ面白ければあとはシンプルでも良いな。例えばシャワーもオーバーヘッドのものにするのも良いですね。超シンプルな方が良いです。

浴室外に、作業中のものを吊り干しできるようなレールがあると便利そうです。染め物をする時なんかには使えそうです。
それから、この前、BAINCOUTUREさんのショールームに伺ったのですが、新製品の「モジュールドレッサー」が気になりました。見た時に、「あ、これ作業台に欲しい!」って思って。部屋に合わせて組み方も変えられるし、程よい幅もあるし、バッチリだと思いました。浴室の周辺に置いて違和感のない作業台ってほとんどないので、「モジュールドレッサー」を使いたいですね。
狩野さんへのヒアリングからBAINCOUTUREがCGパースを制作

今回制作したCGパースのテーマは「遊び場にも癒しの場にもなるお風呂」。一般的なお風呂のイメージにとらわれず、種類の違う3つのお風呂やユーモアのある内装で毎日実験を繰り返せるアトリエのような浴室に。ここでは、制作にあたって考えた3つのポイントをご紹介します。
①用途と気分によって使い分けられる浴槽
「お風呂は体を綺麗にするだけの場所じゃない」という狩野様のお話をもとに、3つのタイプの浴槽を備え付けました。1つ目は浅いお風呂。公園やプールにある子どもが遊ぶ、じゃぶじゃぶ池のようなイメージです。寒い時期には足湯に、夏は水遊びにと入浴以外でも使えるかと思います。お子さんと入浴した際に、このお風呂だけでも入浴が完了するよう、オーバーヘッドシャワーも取り付けました。
2つ目は、置き換えして楽しめる浴槽。いまは、岩の浴槽を置いていますが、例えばドラム缶風呂に置き換えたりと、自由に入れ替えて楽しめます。
ヒアリング時スケッチ(BAINCOUTURE作成)3つ目は、一般的なお風呂。忙しい日々の中では“普通のお風呂”にゆっくりと浸かりたいと思う時もあるはず。ステンレス製の浴槽に2種類のシャワー、さらにお手入れしやすいようにブースを区切りました。
②制作もできる作業スペースとしてのお風呂

お湯に浸かるだけではない、様々な用途で使える浴室を目指した設備にしています。中心に作業台を置いて、制作や遊び、さらには食事を摂ったりと、自由度の高い使い方をしていただけます。天井に取り付けたパイプは、制作物の乾燥や一時的な保管などにも活用できます。
また、ショールームで気に入ってくださったモジュールドレッサーも設置しています。洗面化粧台として使用していただくことはもちろん、このドレッサーに作業道具をしまうこともできます。もともとはモジュールドレッサーを作業台として使用する想定でしたが、より便利かつ自由度高く浴室を使っていただくために、今回は壁に寄せて配置しています。
③遊び心と大人の落ち着きを両立した空間
天井の一部を解放し、空の様子が見える作りにしました。雲や太陽の動きがわかる天井は、日常的なモノや風景からインスピレーションを得ることが多いという狩野様のお話からイメージしたものです。

さらに、壁の一部には装飾として、サビを収集して作られた狩野様の作品「Rust Harvest」を埋め込みました。グレーを基調としたお風呂のなかに、遊び心の加わった浴室です。
- 狩野さんからのコメント
- 自分にとって「理想のバスルーム」とは何だろう—そう考えたとき、ふと学生時代の下宿先での風景を思い出しました。作品を風呂場で塗装し、乾かしていたあの時間。お風呂という場所が、単なるリラックス空間以上の役割を果たしていたことに気づきました。
今回の理想のバスルームには、生活&制作活動における「こんなのあったらいいな」という要素を盛り込んでみました。たとえば、浅いお風呂は子どもが遊ぶ場でもあり、何かを染める場になったりする。上からは洗濯物がぶら下がっていたり、作りかけの作品が吊るされていたり。岩風呂では植物を育てたり、サウナは乾燥室にもなる。そんな自由な発想が重なり合って、「お風呂=作業場」という新しいバスルームのかたちが生まれた気がします。
さいごに
さまざまな業界の最先端にいる方々と、理想のお風呂をつくってみようという企画の第7弾として、狩野さんとともに、遊び場兼作業場にもなるユニークなお風呂空間を考えてみました。これからも様々な視点から理想のお風呂を考えていきます。ご期待ください。
Text :Natsu Shirotori
Photo:Yuki Nobuhara
Release:2025.04.24

