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余剰タイルがお風呂用プランターになるまで。「uptile アメニティシリーズ」製作の裏側に迫る

BAINCOUTUREでは、お客さまそれぞれのライフスタイルに合ったオーダーメイドのお風呂空間を提供しています。お風呂空間を豊かにするのは、浴槽や浴室の内装だけではありません。お風呂で使うインテリアや小物も大事なポイント。

そんな様々なプロダクトをお届けするMaison de Baincoutureの新商品として、余剰タイルを活用したプランター、タンブラー、トレーを新たに開発しました。製品を作る陶磁器工場の様子とともに、新プロダクト誕生の裏側をお伝えします。

ブランドディレクター 三谷

担当領域:事業統括

ブランドマネジメント係 佐藤

担当領域:ブランドマネジメント

陶磁器事業部 佐久間

担当領域:デザイン

廃材に価値を見出した「uptile アメニティシリーズ」

今回は、余剰タイルを使った「uptile アメニティシリーズ」の第二弾だそうですね。そもそもこのシリーズはどのように始まったのでしょうか?

三谷 システムバスを製造する際に生じる余剰タイルをどうしようかといった話題が持ち上がったことをきっかけに、このプロジェクトが始まりました。BAINCOUTUREの運営元であるニッコーは、もともと陶磁器メーカーとして始まった会社です。陶磁器事業部は当時すでに陶磁器のアップサイクルに取り組んでいたんです。そこで、陶磁器事業部に、タイルを使って新しい商品を作ってくれないかといった相談を持ちかけました。

最初に生まれた商品は何だったのでしょうか?

三谷 タイルをカットして加工し、お皿にした「uptile dish 」が最初に作った商品です。その後、さらに「タイルを砕いて、新しい素材として使えないか?」といった相談を陶磁器事業部のメンバーに投げかけ、本格的にプロダクト作りが始まりました。

uptile dish
余剰タイルを使ってプロダクトを作るにあたって、通常の陶器製造と異なる難しさはありましたか?

佐久間 普段使っている素材とは全く異なるので、やはり難しさはあります。普通のボーンチャイナ(ニッコー陶磁器事業部の主力商品はボーンチャイナという素材)よりも、タイルは脱型するときにくっつきやすく、かつちぎれやすい。加工や成型に苦労する素材だと感じています。

三谷 前提として、ニッコーの工場はボーンチャイナを作りやすい工場になっているので、別の素材を扱うのが難しいという点もあります。粉砕タイルを混ぜるのは新しい素材を作っているということなので、既存の製造ラインでそのまま作ることはできません。そのため工程を少しアレンジする必要がありました。

佐久間 そうですね、まずは工場内に作業場所を作るところから始める必要がありました。使われていないスペースに空調設備を整え、ブルーシートで囲って……と地道な準備からスタートしました。また、工場のメンバーもこれまでに取り扱ったことがない素材なので、研究開発のメンバーが手作業で実際に生産してみて資料にまとめてから、製造現場にパスしました。

三谷 ニッコーは、何かを作る時にはちゃんと再現性があるか、同じものを作り続けられるかを大切にする企業文化があるので、和陶器のように「多少曲がっても味があるよね」とはならないんですよね。BAINCOUTURE事業部がさらっと「作れますか?」と依頼した裏で、佐久間さんたちが色々と工夫して最終的に商品化できる状態まで持っていってくれたんだなと実感します。

注泥

注泥

脱型

削り

仕上げ

「uptile アメニティシリーズ」のプロダクトに共通する特徴として、上品な色味や質感があるかと思います。これらはどのように決め、作られているのでしょうか?

三谷 色は、すごく悩みましたよね。かなり多くの色を試してもらったのですが、今の少し紫がかったグレーが出てきた時に「BAINCOUTUREっぽい」と感じました。きっと、BAINCOUTURE事業部の他のメンバーも同じ感覚だったと思います。

佐藤 言語化が難しいところですが、私もブランドの“らしさ”を感じる色だと思います。

佐久間 余剰タイルがベースにあるので、毎回、土台となるタイルが同じとは変わりません。ベース混ぜるタイルの種類が変わってもある程度同じ色に落ち着くよう考慮して、顔料を混ぜてこの色に調整してもらいました。

三谷 いかにもリサイクル品ですと主張する色味にはしたくなかったので、最終的に決めた色がブランドらしさが感じられるものになって良かったなと思います。

佐久間 質感についても、食器であれば釉薬を塗るのですが、あえて使わずにマットに仕上げて「リサイクルっぽさ」は抑えました。色味のおかげでマットな質感でも汚れが目立ちにくい。実用的な面も考慮した上で、この質感に仕上げました。

三谷 BAINCOUTUREが提供するお風呂空間の中で、いろいろな素材を使うと思うのですが、どの空間でも合うプロダクトだと思います。また、この色にあわせて化粧箱も作ったのですが、そこで使った紙をMaison de Baincoutureのブランドブックにも使うことになりました。結果的に「uptile アメニティシリーズ」の製作は、ブランドのカラーを決める重要な役割のあるプロジェクトになりました。

お風呂で心地よく植物を育てる・観るためのプランターが誕生

今回は第2弾として、タンブラー、トレー、プランターが生まれましたが、それぞれどんな背景で誕生しましたか?

三谷 タンブラーとトレーは、もともとTRUNK(HOTEL) YOYOGI PARKさんとの共同開発で作ったものでした。ホテルの客室用に作ったものを、せっかくなので一般向けにも販売しようということで今回、発売が決定しました。

プランターについては、以前から佐藤さんを中心に、浴室にグリーンを取り入れることを提案してくれていて、それをきっかけに生まれたプロダクトです。

佐藤 私自身、植物を育てるのが好きで、2020年にはBAINCOUTUREのブランドサイトでもバスルームにおすすめの観葉植物を紹介するコラムを作成していました。しかし、いざ実際にバスルームに観葉植物を置こうとすると、なかなか適したプランターが見つからなかったんです。それならBAINCOUTUREで作れないか、と思い今回の企画に至りました。

バスルームで観葉植物を育てるのに適したプランターというと、具体的にどんな点にこだわって作られたのでしょうか?

佐藤 浴室でプランターを使うとなると、特に重要なのは排水と風通しです。シャワーなどがかかることもあるかもしれないので、排水が良くないと根腐れしてしまう。また、湿度が高い場所なので、風通しが悪いのも避けたい。そういった課題を解決するために、佐久間さんにデザインを工夫していただきました。

佐久間 素材が陶磁器なので、安定感のある形がいいということで、しっかりとしたシリンダー(円筒)型の形をベースにしました。そして一番工夫したのは底面です。普通のプランターは底が平たい面が多いのですが、中をすり鉢状にして、水が中央の穴からしっかりと落ちるような形にしています。加えて、受け皿にたまった水も乾きやすいよう、プランターと受け皿の間に風が抜けるスペースを作りました。風が流れる様子をイメージして、この形状にしたんです。プランターと受け皿がしっかりと固定されるように、爪も付けています。

扱うのが難しい素材だといったお話もありましたが、プランターと受け皿の間のスペースなど、細部まで工夫されたデザインに驚きました。

佐藤 植物をうまく育てることと、見た目の上質さを両立してくれるプランターが少ないなと思っていたので、このデザインを見た時はすごいと思いました。

佐久間 ある意味、余剰タイルを使った素材だからこそできる部分もあります。普段作っている陶磁器の食器は、ろくろ成型などの機械を使った作り方をベースにデザインすることが多いです。しかし、「uptile アメニティシリーズ」のプロダクトは全て手作り(鋳込み製法)なので、手間がかかる一方、デザインの自由度も高いんです。

今回のプランターのような波形のデザインとか、プランターにつけた爪などは、手づくりじゃないとできません。デザイナーとしては、どんな風にしようか考えることを楽しめるプロダクトでもありました。

これらの商品を手に取る方に、どんな風に楽しんでほしいですか?

佐久間 普段からサステナブルなことを意識している人だけが購入するというよりかは、洗練された空間を作る1アイテムとして幅広い人に手に取っていただきたいです。もともとBAINCOUTUREのお風呂が入っている浴室に馴染むのはもちろん、そうでなくても今回のプランターやこれまでに発売してきたディスペンサーなどを取り入れていただくことで、より上質なお風呂空間になるかと思います。

三谷 「uptile アメニティシリーズ」を取り入れるというちょっとした変化でも、浴室を使うときの気分は変わるんじゃないかなと思います。たとえ一般的な樹脂パネルのシステムバス空間に対しても、少し洗練されたデザインのものを取り入れればきれいに保ちたいと思ったり、よりお風呂時間を楽しみたいと感じられるのではないでしょうか。また、BAINCOUTUREは「bath side living」というコンセプトで、入浴中だけではなくお風呂の前後の時間を大切にするライフスタイルを提案しています。今回のプランターをはじめとし、「uptile アメニティシリーズ」は浴室だけではなく、洗面所やリビングなどの場所でも使えるアイテムを揃えているので、いろいろなシーンで使ってみていただきたいです。

photo Ryo Kawano

photo Ryo Kawano

photo Ryo Kawano

photo Ryo Kawano

photo Ryo Kawano

事業部のコラボレーションが生む新しい発想

異なる事業部がコラボレーションしてプロダクトを作ったことで、新しい発見はありましたか?

三谷 普段、陶磁器事業部とBAINCOUTURE事業部がしっかりと交わる機会はありませんでした。佐藤さんは特に、初めて陶磁器事業部と関わって、今までと違ったコミュニケーションも多かったんじゃないかなと思います。

佐藤 そうですね。いちユーザーとしてニッコーのボーンチャイナのお皿を使った時に、こんな滑らかで質の高いお皿があるのかと驚いたのですが、その質の高さが今回のプロダクト作りでも見られて嬉しく思いました。繊細なモノづくりから学ぶことが多かったですし、他にもお風呂周りで使えるアイテムを作れそうだなと感じました。

佐久間 陶磁器事業部にとっても、技術的にもデザイン的にも新しい発見のある取り組みでした。やはり新しい取り組みをすると、こういうものが作れるのか、こういうお客さんともつながることができるのか、と何かしら得るものがありますね。

今後は、どのような展開を考えていますか?

三谷 まずはこれまでに作ってきたアイテムをより広く使っていただけるようにしていきたいです。ご家庭で使っていただくのはもちろん、ホテルや他のブランドともコラボレーションして新たな可能性を探っていきたいです。また、まだ具体的な企画はしていませんが、例えば、ランプやスピーカーなど、そういったアイテムもお風呂で需要があるのでは?と思っています。今後も、二つの事業部が関わっているからこその、これまでにない発想のプロダクトを作れるんじゃないかと期待しています。

この記事で紹介した商品はMaison de Baincoutureオンラインサイトよりご購入いただけます。

Text:Natsu Shirotori

Photo:Yuki Nobuhara

Release:2026.01.20

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