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「美の時へ導く、用の美」JAPAN MADE編集長・河野涼と考える、 お風呂に感性を吹き込む瞬間とは。

河野涼

1991年生まれ。合同会社hyogen代表。写真、映像の制作からコンセプト設計やコピーライティング、デザインなど、全般的に手掛ける。日本のモノづくりが専門領域で、その持続可能性を探るプロジェクト“JAPAN MADE”の編集長も務める。趣味は香水集めとホテルめぐり。

BAINCOUTUREでは、お客さまそれぞれのライフスタイルにあったオーダーメイドのお風呂空間を提供しています。今回ご登場いただくのは、JAPAN MADE 編集長・河野涼さん。日本のモノづくりの現場を取材しながら、職人さんの技術を活かした商品開発やブランドのプロデュースを手掛ける河野さんに、BAINCOUTURE ブランドディレクター・三谷との対話を通して、今回共同開発を進めたMaison de Baincoutureのオンラインストアや、和蝋燭などの商品が生まれるまでの経緯について、「感性」をキーワードにお話をうかがいました。

モノづくりをめぐる感性のぶつけ合いから生まれたMaison de Baincoutureの世界観

今回、Maison de Baincoutureのプロジェクトが河野さんとの共同開発を踏まえスタートすることになった経緯について教えてください。

河野さん 元々、BAINCOUTUREの皆さんが、Maison de Baincoutureで日本の職人さんの技術を使ってアイテムをつくりたいと考えておられて、日本のモノづくりの現場を発信するメディアJAPAN MADEをやっているぼくたちにお声がけいただいたのがきっかけでした。
BAINCOUTUREは元をたどると、NIKKOブランドの陶磁器事業から始まっています。これまでずっとモノづくりに向き合ってきた上で、そこから派生して、お風呂や空間プロデュースまで広がったブランドという背景もあって、打ち合わせの段階から、日本のモノづくりに対する強い想いを感じました。

BAINCOUTURE ブランドディレクター 三谷 はじめにJAPAN MADEのWEBサイトを見た時に、率直にセンスがいいなと思いました。実際に会ってお話した際に、お金儲けのためではなく、素晴らしい職人さんの活動をもっと世の中に広めたいという純粋な気持ちが伝わってきて好感が持てました。この人なら、きっと我々がやっていることも共感してもらえるに違いないと。

まさにお互いの感性が響き合った出会いだったのですね。

河野さん ありがたいお話です。「日本のモノづくりを持続可能にする」ということをミッションに掲げて2016年からJAPAN MADEというプロジェクトを続けていて、これまで日本のモノづくりの現場を200以上取材し発信してきました。また、ぼくの会社ではブランディングやクリエイティブディレクションなど事業の領域を広げていくことで、モノづくりの現場と社会をつなぐ仲介役として、モノづくり×ブランディングを軸にプロジェクトを手掛けることも増えてきました。今回のMaison de Baincoutureもそうした取り組みのひとつと言えるかと思います。BAINCOUTUREを展開しているNIKKOのような規模の企業が日本のモノづくり全体をフックアップしようとしていること自体に価値を感じました。ぼくたちが今まで出会ってきた職人さんたちのためにもなる。三方よしという感じでぼくたちにとってはありがたいし、楽しいプロジェクトでした。

NIKKOの技術からつくられたBAINCOUTUREオリジナルプロダクト
続いて、Maison de Baincoutureのコンセプトについてお話をうかがいたいと思います。  「美の時へ導く、用の美」というテーマはどのようにして生まれたのでしょうか

河野さん 前提のお話として、良質なお風呂グッズが市場にないという課題をBAINCOUTUREの皆さんから聞いていました。BAINCOUTUREでお風呂を仕立てるのは、お家やお風呂に強いこだわりを持った方々が中心です。そうした方々の感性に応える質の高い提案をしたいと考えた結果、単純に入浴のためのアイテムのみを提案するのではなく、お風呂を前後まで含めた線として捉えているBAINCOUTUREの考えに共鳴するかたちで提案を考えようと思いました。

お風呂を「使う空間ではなく、過ごす空間」と捉えることで、「時を仕立てる」という元来からのキーワードが引き立てられ、「美しい時を仕立てるため」のツールとしてグッズがあると全体を整理しました。そして、美しい時間や心地よい時間を仕立てるためには、そこに導いてくれる存在も美しくあるべきという考えから、日本の暮らしとモノづくりにより生まれ今も語られる「用の美」という概念にたどり着きました。実用性の中にある美しさ、フォルムや使い心地などを含めたトータルでの充足感を追求したいという思いを「用の美」という言葉に込めています。

Maison de Baincoutureのオンラインストアのクリエイティブの制作やプロダクト開発をする過程について教えてください。BAINCOUTUREのメンバーと河野さんの間では、どのようなやりとりをしながら、ブランドをつくっていったのでしょうか?

BAINCOUTURE ブランドディレクター 三谷 私が特に印象的だったのは、Maison de Baincoutureの世界観をつくり込んでいく過程です。河野さんには、色々なイメージのパターンをつくってもらったのですが、一緒に画像を見て、素材に触れながら対話を重ねて、イメージを擦り合わせていったことが新鮮で面白かったです。

河野さん 確かに今思い返してみると、世界観をつくり込んでいく過程が一番やりとりが多かった気がします。様々なリファレンスを見て、対話を重ねて、お互いの感性のラリーを続けていく中で、最終的にはMaison de Baincoutureでしかないものが出来たのではないかと思っています。

クリエイティブの制作も、商品開発も、結果だけみたら、良いものが出来て一発OKだったという感覚なのですが、そこにたどり着くまでは、繰り返し議論したり、吟味したりしていました。しっかりプロセスを煮詰めたことで、チームの全員が納得のいくアウトプットが出来たのではないかと思います。

Maison de Baincouture イメージビジュアル

Maison de Baincouture イメージビジュアル

Maison de Baincouture イメージビジュアル

Maison de Baincouture イメージビジュアル

オンラインストアのイメージビジュアルでは水の波紋や炎の揺らぎが印象的です。

河野さん オンラインストアのトップは、PCではスライドショー、スマホで見ると映像になっています。見る人にシーンを想起させたいという思いがあり、直接的な表現をしないで、お風呂を表現するということに挑戦しました。単純に機能的な場所としてのお風呂のブランドではなく、前後をふくめてお風呂の時間を仕立てるというのがBAINCOUTUREのブランドアイデンティティです。なので、そのサブブランドのMaison de Baincoutureも、アイテムをそのまま映すのではなく、アイテムがあるシーンを抽象的なイメージで表現したいと考えました。

また、上質なアイテムの魅力をしっかりと伝えるために、静寂や落ち着きを意識して、イメージを作り込んでいます。鎌倉の一棟貸し宿、「MAYA」 を撮影のロケーションとして選んだのですが、思い描いていた世界観にぴったりハマってよかったです。

古きを尋ねることで見えてくる新しい可能性

今回のプロジェクトで開発をした和蝋燭について詳しくお話を聞いてみたいと思います。和蝋燭をお風呂の瞑想の道具にするというのは新しい提案だと思ったのですが、このアイディアはどのようにして生まれたのでしょうか?

河野さん 第一弾が和蝋燭に決まるまでは、実は色々な案を出しました。シーンは、お風呂に入る前、入る最中、入った後で、そこに春夏秋冬などを絡めつつ、ランドリーボックス、提灯、お香立て等々。 色々とご提案をする中で、最終的に和蝋燭にたどり着きました。

和蝋燭は元々、時間を測るためのものとして使われていた歴史があります。また、そもそも蝋燭は仏具なので、シーンとして瞑想とは相性が良いと考えていました。和蝋燭をやると決めてからは、BAINCOUTUREの皆さんとお互いの感性をぶつけ合いながら、何度もやりとりを重ねて商品をかたちにしていきました。

和蝋燭 キャンドルボックスセット
今回開発したプロダクトのこだわりポイントについて教えてください。

河野さん 蝋燭は、通常、燭台という蝋燭を立てるための道具の上にさして使うのですが、今回の商品はお風呂場というシーンを踏まえて、燭台なしで自立する蝋燭を開発することにしました。 和蝋燭の職人さんからしても、このようなオーダーを受けるのは初めてのことだったそうですが、工夫を凝らして、ずんどうで自立をする蝋燭をつくっていただきました。 また、時間にもこだわりたかったので、10分、20分と測れる時間に合わせて長さを調整しました。試作品をBAINCOUTUREの方々に実際にお風呂で使用していただいて、安心感のある大きさや太さ、最適な時間について議論をしながら探っていきました。和蝋燭の制作をお願いした中村ローソクの田川さんには、色々と難しいお願いをしたのですが、「職人の立場からみているだけでは思い浮かばないアイディアや意見をもらえてありがたい」と言っていただけて、この取り組みの意義を感じることができました。

燭台なし自立する和蝋燭

河野さん また、蝋燭を収納する箱について検討する際に、BAINCOUTUREが当時開発中だった、余剰タイルをリサイクルして作る商品がこちらにぴったりなことに気づき、その形状を加工し、今のキャンドルボックスができました。キャンドルボックスの蓋を蝋燭の受け皿として使えるようになっていて、上手くハマった瞬間はBAINCOUTUREの皆さんと盛り上がりました(笑)。

さらにその後は、「体験がそのまま美しい所作になるように」というオーダーをいただいて、かなり悩みながらも、実際に購入した人が商品をお風呂の中で使うシーンを想像して、 “箱から和蝋燭を出して、蓋の上に自立させて火を灯す” という “一連の所作” が美しくみえるようにこだわりました。オンラインストアの映像は、その所作のひとつひとつを追求を違和感なく伝えられるように、時間をかけて撮影したものになっています。オーダーの全てを100%実現することは難しいかもしれないけれど、対話を重ねた時のことを頭のどこかで意識していれば、自然とそういうものができあがることもあるのだと思いました。

丁寧に所作を記録していった撮影時の風景
今回のプロジェクトの手ごたえや、今後の展望について教えてください。

河野さん BAINCOUTUREの皆さんとお互いの感性が交わった部分でアウトプットを出せたことは、ぼくにとっても貴重な経験になりました。お互いに「これはカッコいい」「これは違う」という感覚が上手く重なっていたことで良いものができたと感じています。今回は、プロジェクトの第一弾ということなので、引き続き、日本の職人さんの技術を活かして、お風呂のシーンに新しい提案をしていけるといいなと思っています。

BAINCOUTURE ブランドディレクター 三谷 今の世の中、機能性を追求したお風呂はたくさんあります。でも、私たちが追求すべきなのはそこではないと思い、BAINCOUTUREでは、お風呂の過ごし方の可能性を探求してきました。 例えば、かつて日本の銭湯はコミュニケーションの場だったという話がありますが、歴史や昔の習慣を見つめ直していくことが、今の時代の新しい提案に繋がるんじゃないかと考えています。そのような点で河野さんの考えや活動にシンパシーを感じていたのだと思いました。

今回、和蝋燭がMaison de Baincoutureのコンセプトにハマったのは、本来の時間を測るという使い方に目を付けたことが非常に新鮮に感じられたからだと思います。本来時間を測るものだったという用途から、10分、20分という発想が生まれて、それが結果的にプロダクトになった時に、小さくて可愛いという用の美に繋がっていく。 そのように、歴史を掘り下げて、角度を変えて提案してみると、「なるほど」と感性を刺激する新しい発見が生まれるようなものをこれからも河野さんたちと一緒につくっていけたらと思います。

河野さん 今回のプロジェクトを通して、改めてお風呂ってすごく可能性に満ちていると感じました。お風呂道具をつくるプロジェクトで、和蝋燭をつくる人って中々いないですよね(笑)。でも、お風呂の捉え方を拡張して考えると、新しい可能性が見えてくる。引き続きBAINCOUTUREの皆さんと一緒に、日本のモノづくりとお風呂の可能性を拡張していけるようなプロジェクトに挑戦していきたいです。

さいごに

今回は、JAPAN MADEの河野さんにBAINCOUTUREとの出会いやMaison de Baincoutureの誕生秘話をお話しいただきました。これからもBAINCOUTUREは、様々なプロフェッショナルの感性が生まれ、育つ瞬間をヒントに、「お風呂に感性を吹き込む」ことへの考えをさらに深めていきたいと思っています。ぜひ、お楽しみに。

Maison de Baincouture オンラインサイト

Maison de Baincoutureの詳細はオンラインサイトよりご覧いただけます。

Text:Yuki Kanaitsuka
Maison de BAINCOUTURE photo:JAPAN MADE

Release:2024.04.24

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