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“インテリアスタイリスト・岩佐知布由さんと描いた理想のお風呂”が、現実になるまで —— グループで向き合った“お風呂空間の再定義”

金沢近郊にある三谷産業コンストラクションズの新ショールーム「sosū select showroom」。今年8月にオープンしたこのショールームには3つのバス空間があります。そのうち一つは、BAINCOUTURE Magazineの「理想のお風呂」企画から生まれたものです。インテリアスタイリスト・岩佐知布由さんの「オアシスのようなお風呂」が実現しました。想像上の空間が現実のショールームとして出来上がるまでの道のりについて、プロジェクトに関わった三人に話を聞きました。

土田和宏

三谷産業コンストラクションズ株式会社 代表

綾村恭平

And By Company株式会社 代表
企画・トータルディレクション

三谷直輝

BAINCOUTURE ブランドディレクター
担当領域:事業統括

北陸初の上質な暮らしを想像させるショールームを作りたい

そもそも、どんな経緯で今回のショールーム作りがスタートしたのでしょうか。

三谷産業コンストラクションズ 代表 土田さん 最初にここにショールームを作ったのは2年前のことです。当時は、1ブランド・1商品くらいのシンプルな構成で、あくまでもブランド紹介に止まっていました。
そんななかで、昨年秋頃から、やはりショールームがあるなら質の良い商品をより身近に感じていただけるようにしなければという話をすることが増えました。そのうえで、どんな商品を置くと良いかと考えた時に、せっかくなら北陸でなかなか見られないような商品をラインナップすることで、継続的に設計事務所さんやハウスメーカーさんに足を運んでいただけるようになるのではという結論にいたりました。

北陸という大きな規模でもあまりないショールームとなると、チャレンジングな取り組みだったのではないでしょうか。

三谷産業コンストラクションズ 代表 土田さん 北陸は持ち家・戸建てが多いのですが、設備はハウスメーカーさんが古くから繋がりのあるところ、多くの場合は大手のものを入れる文化が根強いんです。

BAINCOUTURE ブランドディレクター 三谷 エンドクライアントとなるお客様は、そもそも大手以外のメーカーのものが選択肢に上がっていないから、他のブランドを知らないケースが多いんですよね。私たちも「知っていれば買いたかった」という反応をお聞きすることがあります。

三谷産業コンストラクションズ 代表 土田さん そうですね。まずはそういったお客様に知ってもらう場所になれば良いと思っています。
また、この数年で北陸の設計事務所さんやハウスメーカーさんのなかにも、「よくある」設備ではなくて、より上質な住宅設備機器を求めているお客様が増えているという実感もあります。北陸新幹線が金沢に来てから、ホテルが増え、私たちもユニットバスを2000室ぐらい作らせていただきました。そのなかで、最近特にリゾート系ホテルの引き合いが増えてきました。リゾート系のホテルを作るにあたって、北陸で適した設備を買える代理店がまだ少なく迷っているという声をよく聞くため、今回のショールームも役に立つのではと考えました。

出来上がったショールームは「sosū select showroom」と名付けられていますが、コンセプトや名前の由来を教えてください。

And By Company 代表 綾村さん 土田さんがおっしゃるようなビジネス的な意味合いが前提としてありつつ、そのうえでどういったショールームにすべきかの整理や空間の基本計画から私は参加させていただきました。大きな構成として、商品をキッチンやバスルームなど空間の中で見せるエリアと、個別でしっかりと見せるエリアに分け、全体を通して機能美と造形美を兼ね備えた高品質な住宅設備機器「プライム住宅設備機器」を展示しています。
この「プライム(Prime)」という言葉は「最高や最良、最重要、極上」などの意味を持つ言葉ですが、ショールーム名の語源でもある「素数=Prime Number」という意味も込められています。素数は1とその数自身以外では割り切れない唯一無二の価値を持った数であり、すべての自然数は素数の掛け合わせで構成されています。そんな素数のように、このショールームのアイテムも、それぞれが特別さを持ちつつ、掛け合わせによって最大限の価値を発揮するということを意味しています。

三谷産業コンストラクションズ 代表 土田さん 掛け合わせを大切に考えていて、これからどんどんと新たな可能性が広がっていくことも期待して「sosū select shoroom」の名のもと運営しています。

岩佐さんの理想と北陸の住文化が出合う

ショールームのなかで、岩佐さんの「理想のお風呂」のアイデアを実現することはどのような経緯で決まったのでしょうか?

BAINCOUTURE ブランドディレクター 三谷 土田社長からショールーム改装のお話を聞いて、BAINCOUTUREも何らかの形で協力したいと考えました。ちょうどブランドブックが出るタイミングで、BAINCOUTUREも新コンセプトを打ち出していこうとしている頃でした。
単純にお風呂を作るのではなくて、「bath side living」空間をイメージできるようなショールームにしたいという話をするなかで、岩佐さんの「理想のお風呂」が今回のショールームに相性が良さそうだとなり、実現に至りました。

And By Company 代表 綾村さん 岩佐さんのアイデアを拝見して、これを北陸でやることにも意味があると思いました。というのも、北陸の家庭には「サンルーム」という文化があるんですよ。
北陸は雨が多く、日照時間が日本で最も短いエリアなので、洗濯物が乾かない。だから「サンルーム」という、ガラス張りの空間が家の中にあるんです。お風呂でもあり、「サンルーム」にも近い空間にもなりそうなので、このショールームでやるのにちょうど良いと考えました。

CGパースから現実の空間に落とし込むにあたって、難しかったこと、あるいは面白かった点はありますか?

三谷産業コンストラクションズ 代表 土田さん CGパースは戸建て内の一部を想定して作られていたかと思いますが、ショールームの建物に合わせてローカライズする部分は綾村さんに色々工夫していただきました。

And By Company 代表 綾村さん 吹き抜け部分に一部天井を設けることで天窓に見立てるなど、できるだけCGパースの印象に近づけられるよう、工夫しています。また、外の景色が良い場所であれば尚更良かったのですが、このショールームは道路沿いに建っているのでカーテンで仕切りをつけ、どちらかというと家の中でしっかりとこもって過ごせるような位置づけの空間にしました。空間全体の設計は我々が担当しましたが、浴槽周りはBAINCOUTUREさんが素材の選定や設計までやってくださいましたよね。

BAINCOUTURE ブランドディレクター 三谷 はい。浴槽周りはほとんどCGパースのまま再現できたのではと思っています。むしろ、「bath side living」部分をどう表現するかが大事かと思っていて、実際の住宅ではまだあまりないので、難しかったのではないでしょうか。

And By Company 代表 綾村さん 確かにそうですね。CGパースとはそもそもの空間の形も違うので、レイアウトに関する議論もありましたし、ショールーム全体で見た時にどんな空間にすべきかということも含めて考えることも大切にしていました。また、岩佐さんにも事前に2回ほど現地に来ていただいて、 キッチンエリア以外は岩佐さんにスタイリングをしていただきました。植物の一つひとつまで丁寧に選んでくださっています。

今回、3社でのコラボレーションという形でプロジェクトを進めてみて、お互いに気づきになった点などありましたか?

三谷産業コンストラクションズ 代表 土田さん 今回のプロジェクトでとても勉強になったのが、マテリアルの使い方ですね。ショールームの参考として都内の高級マンションに足を運ぶことがあったのですが、どこもただキラキラしているのではなくて、上質という言葉が似合う造りで、本物志向の方々がどういうものを求めているのかを知る機会になりました。それはもちろん、BAINCOUTUREの商品もそうで、新しいお風呂の可能性を感じました。

And By Company 代表 綾村さん 私もお風呂作りにおいて、上質さと機能の両方を満たすものをBAINCOUTUREの商品から学んだなと感じています。これまでのお風呂の作り方って、樹脂製のユニットバスか、理想の空間は作れるけれど防水の心配がある在来工法という大きく2つの選択肢だったんです。BAINCOUTUREの商品はそれを両方うまく解決していると感じ、今回一緒にやらせていただいて非常に勉強になりました。
また、「bath side living」という考え方も、特に不動産価格が年々高騰する都心部のマンションでは一平米の使い方がすごく重要になってきているので、空間効率化の観点でも非常に有効だなと思います。

BAINCOUTURE ブランドディレクター 三谷 ありがとうございます。私は先程、話に上がった「サンルーム」という切り口が刺激になりました。岩佐さんの「理想のお風呂」はどこか親しみやすさがあると感じていたのですが、私の実家にもサンルームがあったからか、と気付いて。もしかしたら他のエリアでもそれぞれ適した提案の仕方があるのかもしれないと参考になりました。

新しい住まいの可能性を感じられるショールーム

このショールームを訪れた方々に、どんな変化や気づきを持ち帰ってほしいですか?

BAINCOUTURE ブランドディレクター 三谷 家の中での可処分時間をどこで消費するかというと、現状はリビングルームと寝室と自分の部屋くらいしかない。でも、「bath side living」みたいな空間があると、そこで過ごす時間が増えて、住宅をフルで活用できるようになりますよね。このショールームでは、キッチンもそういった空間になっているかと思います。
空間の境界線が曖昧になった方が、より住宅を自由に使えると思うんです。住宅ってもっと自由でいいんじゃないかということを、ここを中心に、いろんな人に知ってもらえたらと思います。

三谷産業コンストラクションズ 代表 土田さん そうですね。オープンしてまだ日は浅いですが、すでに様々な設計事務所さんやハウスメーカーさんから良い反応をいただいています。三谷さんがおっしゃるような可能性を感じてもらいつつ、住宅やホテルに入れる設備もこれまでにない選択肢をとってもらえるようになったらいいなと思います。
また、直接のお客様ではないのですが、これからの建築業界を担う学生さんたちにも見に来てほしいですね。住宅設備機器って、こういうレベルがあるんだということを、学生の時から知ってほしい。

And By Company 代表 綾村さん 学生コンペなども面白そうですよね。「理想のお風呂」企画のような、住宅設備を中心とした空間提案みたいなのを、学生さんに考えてもらう。静かな存在感を放つ、「sosū select showroom」にあるような商品を中心に考えてみるという経験は、学生にとってなかなか貴重だと思います。

最後に、今後の構想や実現したい取り組みはありますか?

三谷産業コンストラクションズ 代表 土田さん セレクトショップのように、いずれは富山、福井、大阪など、他の地域にも「sosū select showroom」というブランドを広げられる可能性があると考えています。そのなかで、BAINCOUTUREをはじめとする各ブランドを知っていただけるような場所になったらいいなと思います。

岩佐さんからのコメント

私自身お風呂がとても好きで、bath side livingの考え方に共感し、「自分だったらここでどう過ごしたいかな」とリアルにイメージして、スタイリングをさせていただきました。入浴の合間に読書や音楽を聴いたり、お香を焚いてリラックスしたり、お風呂時間をより楽しめる空間を目指しています。また、展示されている美しく、使い心地の良いプロダクトを体感すると、空間の魅力は細部に宿ることを改めて感じられると思います。
このショールームでの体験をきっかけに作られる空間が、そこで過ごす人々のより良い暮らしに繋がっていく事を心より願っております。

【後編】季節に合わせたスタイリングもできる、オアシスのようなお風呂|岩佐知布由  へ

さいごに

岩佐さんの「理想」から始まったバスルームは、北陸という土地の特性と組み合わさり、多くの人が実際に訪れることのできる空間として実現しました。商品の情報だけではなく、住まいへの新しい想像力と、暮らしをより豊かにするための視点を得られる場所として、ぜひ足を運んでみてください。

Text :Natsu Shirotori
Photo:Yuki Nobuhara
Release:2025.11.13

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